細菌性髄膜炎 予防ワクチンに助成を 函館小児科医会
update 2010/5/29 16:12
乳幼児の細菌性髄膜(ずいまく)炎を予防するワクチン接種費用の公費助成を求め、函館小児科医会(山田豊会長)が中心となって署名活動を行っている。函館、北斗両市で小児科のある総合病院、予防接種を行っている内科や小児科の診療所で6月上旬まで署名を集める。6月中にも両市、市議会に対し、署名とともに陳情書を提出する考え。
助成を求めるのは、細菌性髄膜炎の主な感染原因となる肺炎球菌とヒブ(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)のワクチン。細菌性髄膜炎は、年間推計で約1000人の乳幼児が発症し、約5%が死亡、20―30%に難聴や脳障害などの後遺症が出るが、これら2つのワクチンで8―9割が防げるという。
米国など多くの国では10―20年前から無料で受けられる定期接種を実施し、WHO(世界保健機関)も定期接種化を推奨している。しかし日本では、乳幼児用の「肺炎球菌ワクチン」が今年2月、「ヒブワクチン」は2008年12月に発売されたばかりで、いずれも有料の任意接種だ。
ヒブワクチンは1回7000―8000円、肺炎球菌ワクチンは1回1万円程度。生後2カ月から接種できるが、生後7カ月未満の乳児では、各ワクチンの4回接種が必要なため、両方合わせて7万円かかり経済的負担が大きい。本来は誰もが受けられる定期接種が望ましいが、それまでに何らかの費用負担が必要とされている。全国的にも自治体によって接種費用の全額または一部を助成している。七飯町は昨秋からヒブワクチン、来月から肺炎球菌ワクチンを助成する。
同会で署名活動の中心を担う、函館五稜郭病院小児科長の岩井崇医師は「髄膜炎は怖い病気だがワクチンで予防できるのに、住む国や地域によって子どもが不幸になるのを防ぎたい。函館、北斗市にも助成してもらえるよう訴えていきたい」と協力を呼び掛けている。問い合わせは同病院小児科TEL0138・51・2295。
◆細菌性髄膜炎 普段でも鼻やのどに見られる肺炎球菌やヒブなどの細菌が血液の中に入り込み、脳を包む髄膜(ずいまく)についてしまうことで起こる炎症。最初は風邪と区別がつきにくい。生後半年未満の乳児は診断、治療が難しく、ヒブ、肺炎球菌の2つのワクチン「髄膜炎ワクチンセット」で、早期の予防が望ましいとされている。
提供 - 函館新聞社
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