函館小児科医会、小児救急ガイドブック作製
update 2009/9/24 09:53
函館小児科医会(児島宏典会長)や市立函館保健所などはこのほど、小児救急ガイドブック「目でみる救急箱」を初めて作製した。現在、市内で夜間や休日に子供が入院できる医療機関は4病院で、小児科勤務の医師不足などにより現体制は綱渡りに近い状態。同医会では「ガイドブックを活用して、どういう場合に救急医療を利用すべきか知識を深めてほしい」と話している。
市内で夜間などに子供の緊急入院を受け入れる医療機関は5年前まで6病院あったが、現在は市立函館病院と函館中央病院、函館五稜郭病院、共愛会病院の4病院による輪番制となっている。合わせて15人の小児科医が交代で宿泊勤務に当たっているが、医師によっては月に7、8回の勤務をこなすなど、過酷な状況が続いている。
市内の夜間医療体制は、午後7時半から午前零時まで市夜間急病センター(市総合保健センター内)で基本的な処置を行う患者を受け入れているが、午後零時以降は毎日のように複数の患者が当番病院に駆け込んでくる。市では2008年4月から、南渡島医療圏の二次救急医療機関に指定されている9病院で、夜間のウオークイン(救急搬送によらない来院)患者の受け入れを制限して対処しているが、小児科の二次救急については勤務医の減少によって体制維持が厳しくなっているのが現状だ。
同医会の山田豊副会長(函館中央病院臨床顧問)は「抜本的な改善を図るには小児科医の育成が急務だが、すぐにできることではない。このままの状況が続けば重症な子供が入院できなくなることも想定され、医療レベルの低下につながる」と危機感を募らせる。
小児科勤務医の不足は全国的な傾向で、勤務負担に耐えられず病院を離れる医師が多くなっている。小児科の救急患者の中には、軽症でありながら親が過剰に心配し病院に連れてきたケースも少なくないため、同医会は家庭での判断材料として、今回のガイドブックを作製した。
同ガイドブックでは、ひきつけや発熱、異物誤飲など子供によくある7つの症例の対処法を解説し、時間外でもすぐに受診した方が良いケースの見分け方などをアドバイスしている。このほか、函館市夜間急病センターの利用時間のほか、市内で夜間などに診療を実施している医療機関の一覧を掲載している。
同医会では「小児科の救急医療体制を守るには市民の理解と協力が必要。特に子供を持つ親御さんにはガイドブックを読んで知識を深めてほしい」と活用を呼び掛けている。
同ガイドブックはA5版15ページで、市立函館保健所で無料配布している。
提供 - 函館新聞社
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