函館の地酒製造目指し市が酒米を試験栽培事業

update 2010/4/11 09:39

 函館市は緊急雇用対策の一環として、同市亀尾地区の休耕田約4000平方メートル(0・4ヘクタール)を利用して、酒米の試験栽培を始める。市農務課によると、市内で酒米栽培をしている農家はなく、市でも初めての事業。収穫した酒米を使った地酒の製造を目指すという。同課は「農家の所得向上につながる事業になれば」と話している。

 市は同事業に900万円を計上。農業に関心を持つ人をハローワークを通じて3人を新規で雇用する。ブランド価値を持つ加工米の製造と同時に、新規就農者の確保や市内に約40ヘクタール以上あるという耕作放棄地の有効利用につなげたい考え。

 事業は亀尾ふれあいの里の指定管理者でNPO法人の「亀尾年輪の会」(田村富作会長)に委託。同会員が指導を行い、雇用された3人が作業にあたる。5月から田の整備や田植えを行い、10月に収穫する予定。道内で広く生産されている酒米「吟風(ぎんぷう)」を育て、初年度は約500キロの収穫を見込む。

 収穫した米は、道南に醸造メーカーがないため、来年度にも道央などの製造会社に日本酒などの試作を依頼する予定。同時に、酒米から米粉を作る計画も進めており、販路などは今後検討していくという。市内の観光関係者は「観光客からも『函館に地酒はないのか』と問い合わせはよくある。ニーズに合致しているし、酒はお土産としても売れ筋の商品」と期待を寄せる。

 道南では北斗市の新函館農協が、「ふっくりんこ」を使った地酒を販売している例がある。

 同課は「酒米を作って食用米と同じくらいの採算が取れるとなれば、参入する農家も出てくるのでは」とし、「米粉も含めて軌道に乗せ、将来的には農家とメーカーが直接契約して栽培できる体制に持っていければ」と意気込む。問い合わせは同課TEL0138・21・3341。

提供 - 函館新聞社




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