函館市の高齢者見守り事業、孤立23人に個別対応

update 2009/9/23 10:28

 函館市福祉部は、2008年度にモデル事業として5町1地区で実施した「高齢者見守りネットワーク事業」の結果をまとめた。単身高齢者の孤立を防ぐ事業で、対象となった889人のうち孤立状態にあった23人を介護サービスや生活保護の相談などで社会とのつながりを持たせた。市は本年度から3年間で見守り事業の全市拡大を目指している。

 市内6地区に設置している市地域包括支援センターのエリアごとにモデル町・地区を選び、住吉町、日乃出町、上野町、鍛治2丁目、港町3丁目と椴法華地区で実施した。

 市介護高齢福祉課によると、65歳以上の単身高齢者889世帯のうち約8割は近所や家族など社会と何らかのつながりが確認され、1割弱の84人から「見守りは必要ない」「元気だから訪問は不要」などの断りがあった。

 この人たちを除いた76人が孤立の恐れがあったが、50人は家族や知人から定期的に電話や訪問があることが分かり、26人が孤立状態と判断された。うち23人は介護施設への入所や通所、生活保護の相談などで社会とのつながりを持たせ、最終的に「見守りが必要」と判定された市民が3人いた。市内に息子や姉が住んでいるが行き来がなかったり、住所が分からず連絡が取れない状態で、3人はいずれも民生委員などによる見守りを希望した。

 同課は「最初に『見守りは必要ない』と断った84人の中に孤立している人がいないか、課題として残る」と話す。こうした事情について、市町会連合会の幹部は「自分のことは心配しなくていいから、そっとしてほしいという人がおり、本人の希望やプライバシーの問題からそれ以上立ち入ることができない」と説明する。

 このほど開かれた市議会一般質問で小山直子氏(民主・市民ネット)がモデル事業の成果をただし、「孤独死などを招かないように、見守りを全市に拡大すべき」と求めた。岡田芳樹福祉部長も「3年間で全市に拡大できるよう努力したい」と答えた。

 本年度は25町と戸井地区に拡大して実施する予定。

提供 - 函館新聞社




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