「海炭市叙景」文庫化決定

update 2010/4/7 10:19

 函館出身の作家、佐藤泰志の遺作「海炭市叙景」が文庫化されることが、6日までに決まった。大手出版社の小学館(東京)が10月6日に全国出版する。映画化を機に原作に再び注目が集まり、関係者は喜んでいる。

 文庫化は3月中旬、同社社員の村井康司さん(52)=函館出身=がインターネットの短文投稿サイト「ツイッター」で要望を知ったのがきっかけ。村井さんは佐藤泰志と同じ中学を卒業した後輩に当たり、「小説を同時期に読み、気になる作家だった。映画化を知って喜んでいた」という。

 社内で提案したところ、小説の良さと作品の認知度が高まる映画化の動きが決め手となり、文庫での出版がすぐに決まった。村井さんは「不景気な時代のリアルな空気感が描かれ、むしろ今の地方都市や首都圏で読まれるべきすばらしい作品だと個人的にも思う」と太鼓判を押す。

 「海炭市叙景」は1991年に集英社から単行本が出版されているが現在は絶版。2007年にクレインから出版された作品集でのみ読むことができた。映画は11月に全国公開の予定。

 佐藤泰志と西高同期で、長年小説を残す活動を続けてきた西堀滋樹さん(60)は「映画化の目的が達成できとても喜んでいる。先の見えない今の時代だからこそ読んでほしい」と話す。佐藤泰志の妻、喜美子さん(58)=静岡在住=も「全国の書店に置いてもらえるのでロングセラーになれば」と喜んでいる。

提供 - 函館新聞社




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