喜頓さんの思い熱演…「案山子物語」函館公演
今年生誕100年の函館出身の喜劇俳優、故益田喜頓さん(1909―93)が函館市民のために書き下ろしたミュージカル「案山子(かかし)物語」の函館公演が23日、市民会館(湯川町1)で行われた。愛と平和の思いに彩られたストーリーを市民キャストが熱演し、大勢の観客が感動を共有した。
同演目は、喜頓さんが亡くなった翌年の1994年に函館で初演され、今回が4度目の上演。本公演は函館市栄誉賞第1号受賞者である喜頓さんの功績をたたえ市や文化団体など9機関・団体でつくる実行委の主催で開かれた。この日は午後と夜の2ステージが行われ、合わせて約1300人が来場した。
物語は函館近郊の畑に立つ主人公のかかし「ペコ」が台風に乗ってスズメ3羽とパリやニューヨークなど世界各地を巡るもの。現地の人々と交流を重ねる間に笑顔や泣き顔などの「顔」を身に付けていき、さらなる自由と愛を求めていく感動のドラマ。
昨夏から練習を重ねてきたキャストは、のどかな農村や緊迫感のある台風の情景、華やかな祭りなど場面場面でリズミカルな踊りや生き生きとした歌唱や演技を披露。中でも地雷で片足を失った少女がペコに向き合い「たった一つの魔法が使えたら世界中の兵器を花に変えたい」と願うシーンには、戦争に対する怒りと人を大切に思う喜頓さんの強いメッセージが込められ、来場者を引きつけていた。歌と踊りで躍動したフィナーレは万雷の拍手に包まれた。
来場した市内の川村一治さん(58)は「本当に素晴らしかった。踊りや演技などキャストの努力が伝わってきて感動した」と話していた。
なお、9月20日には喜頓さんが活動していた東京、浅草での公演が予定されている。
提供 - 函館新聞社
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