衆院選公示で舌戦展開

 衆院選が公示された18日、道8区でも各候補者が市内各地で第一声を上げ、初日から激しい舌戦を展開した。自民、公明連立政権の「維持」か、民主党を中心とした野党による「政権交代」か―。「政権選択」が最大の焦点となるだけに各候補の訴えに聞き入る市民が多い一方、一次産業の振興や雇用確保、福祉充実など山積する課題を憂う声や不安視する意見も目立った。

 第一声を聞いていた函館市の無職、杉本邦雄さん(61)は「いよいよ衆院選が始まった。街頭演説だけでなくテレビや新聞でも候補者の主張に耳を傾けたい」と真剣な表情で語り、「所得向上と若者の就労支援に本気になって実行する人に一票を入れたい」とする。同市の女性看護師(49)は「子どもの世代は働いても貯蓄に回すどころか残る金もわずか。雇用環境を良くし、老人介護などの支援も充実してほしい」とし、演説する候補者を熱心に見詰めた。

 身近に迫る問題から政治に望む声も大きい。函館市の主婦、水沢香織さん(32)は「現在育児休暇中なので仕事に復帰したら育児と仕事を両立できるか心配」とこぼす。同市の無職、佐々木茂行さん(78)は「宙に浮いた年金問題や後期高齢者医療制度などはばかげている。もっと国民目線の政治を」と訴える。

 函館市の主婦、小町曜子さん(54)は「息子は来年就職活動だが、勤め先がないと函館に戻れない。若者の雇用先を」。同市でコンブ漁を営む川島幸博さん(78)は「今年は例年よりも水温が低く、養殖コンブの生育が極端に悪い。こんな時こそ政治の力が必要だ」と一票への思いは強い。

 一方、注目が集まる政権公約(マニフェスト)に対する手厳しい意見も。函館市の大学4年生、松尾光太郎さん(22)は「各党のマニフェストは一通り見たが、どこも有権者のご機嫌取りに感じる。実現しても財源を保てるのか」と不信感をあらわにし、現実を見据えた政策を求めた。七飯町の無職、伊藤高さん(68)も「内容が分かりづらい。もっと国民が関心を持てるようなものにしてほしい」と注文を付ける。函館市の会社員、坪内秀樹さん(36)は「今さら政治への期待はないが選挙には行く。地元北海道の景気を良くするならどの政党でも構わない」と冷ややかだ。

 市内を走る選挙カーから候補者の訴えが響く中、函館市の男性会社員(33)は「少しでも暮らしやすくなるような候補者を選びたい」と慎重な姿勢をみせていた。

update 2009/8/19 10:49

提供 - 函館新聞社


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