コンブ乾燥ボイラーに木質ペレット活用…実用化へ南茅部地区で実験
灯油や重油などの化石燃料に替わるエネルギーとして期待されるペレット(おがくずを熱で圧縮させた木製スティック)を活用した「木質バイオマスボイラー」によるコンブ乾燥実証試験が7月末から8月上旬にかけて5回にわたって、函館市南茅部地区で行われた。関係者によると、地球温暖化防止の観点から二酸化炭素を排出しない木質バイオマスの利用の機運は高まってきているものの、水産業に光を当てた先例は全国的にもないようで、注目を集めそうな画期的試験だ。
実施主体はNPO法人北海道新エネルギー普及促進協会などでつくる「コンブ乾燥用木質バイオマスボイラーの実用化に関する地域協議会」(大友詔雄会長)。水産業は事業経費に占める燃料費の割合が他産業に比べて圧倒的に高く、燃油価格の変動が経営の不安定要素となっている。
大友会長は「道内のコンブ漁業者の間では約5000台の乾燥用ボイラーが使われているが、燃料は灯油や重油。燃油価格が高騰した時に即応できる体系を作りたい」と同協議会発足の目的を語る。
実験4日目を迎えた8日。同地区安浦町の漁業中村常彦さん方の倉庫では、実際に取れたての養殖コンブ約540本が干され、木質バイオマスボイラーの温風で乾燥させた。既存のボイラーに比べて風力が弱く、温度も約60度と決して高くはないが、地元漁師は「色つやが良い」と評価したという。
「現段階で十分いいデータがでている。今後は実用化に向け、品質や乾燥工程などの課題を整理し、つめていきたい」と大友会長。「ペレットはこれまでのボイラーで活用することができる。日高や利尻など道内にもコンブの生産地はたくさんあるし、繁忙期の漁師には迷惑をかけることになるかもしれないが、2010年度には道内各地で本格的な実証実験を行いたい」と話している。
提供 - 函館新聞社
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