開港100周年も函館沸く…記念絵はがき入手

道教大函館校地域連携センター長の鴈沢好博教授がこのほど東京の古本屋で、1958年に社団法人函館文化会が発行した「函館開港百年記念絵葉書」を入手した。絵はがきは函館港100周年を記念し、石器時代から昭和期までの函館の歴史的な出来事を写真や資料で振り返る10枚組。鴈沢教授は「はがきから当時の市民の意気込みを感じる。開港150周年を機に、こうした過去の出来事を少しでも発掘できれば」と話している。

 絵はがきは函館などから出土した代表的な土器を掲載した「石器時代」から始まり、寛政11(1799)年の函館絵図や安政元(1854)年のペリー会見を描いた写生画、明治2(1869)年の箱館戦争決戦の錦絵など、地元にかかわる歴史的な出来事をまとめている。函館の発展に貢献した江戸時代の豪商・高田屋嘉兵衛やハリストス正教会の基礎を確立したロシア人宣教師ニコライの肖像など、ゆかりの人物の功績にもスポットを当て、それぞれの解説文も付いている。

 1964年の函館文化会沿革史によると、絵はがきは58年5月に1万組作成し、1組100円で配布した。同会はもともと教員の集まりだったが、「函館郷土文化会」と合併し、同年2月に社団法人函館文化会として設立許可を受けた。絵はがきの配布は、新組織としての最初の活動だったことが分かる。現在、函館文化会関係者で当時を記憶する人はほとんどいない。

 絵はがきは函館市中央図書館にも数十組保管されており、同館で古文書のデジタルベース化を進める奥野進さんは「戦後の絵はがきは少ないが、函館港100年記念絵はがきは発行部数が多いので今も持つ市民もいるのでは」と推測し、「絵はがきの内容から、全国的にも函館は歴史的な話題が豊富なことが分かる。郷土の歴史を見直すきっかけになれば」と語る。

 「函館開港百年祭記録集」によると、絵はがきが作られた58年の7月15日から8月5日まで、市内は記念式典や音楽パレード、人工衛星と宇宙旅行展などさまざまな記念行事が繰り広げられた。高田屋嘉兵衛銅像の建立や海員水産会館の開館などもあり、51年前の夏も函館の街は歴史的な節目に沸き立っていたことがうかがえる。

 鴈沢教授は「民間の文化団体が絵はがきを作ったことに市民のパワーを感じる」と話している。

update 2009/8/7 01:39
提供 - 函館新聞社


前のページにもどる  ニュースをもっと読む


ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです