函館税関/引き揚げ者の通貨や証券…思い出お返しします
8月15日の終戦記念日を前に、函館税関は終戦後に海外から引き揚げた人が、日本への上陸時に税関などに預けた通貨や証券の返還を進めている。昨年12月末現在、人数にして約3割しか返還されておらず、同税関は「心当たりがある人はまず照会を」と呼び掛けている。
同税関で保管しているのは、樺太(サハリン)や旧満州(現中国北東部)からの引き揚げ者が預けたロシア・中国の通貨や国債などの証券類など。連合国軍総司令部(GHQ)が当時、インフレ防止策の一環で、国内への持ち込みに一定の制限を掛けたため預託されていた。
返還を始めた1953年時点で、同税関管内(道内と青森、秋田、岩手の東北3県)で保管していたのは約10万3200件。その後、所有者が名乗り出るなど一部の返還が進んだが、返還率は保管件数でわずか18・4%。昨年も照会があった172人のうち23人に返還したが、依然として約1万9000人分、約8万4200件が引き取り手がないままだ。
今年で戦後64年がたつため預けた本人の記憶が薄れ、近年の返還者は年間150人前後にとどまっている。当時の預かり証がなくても、引き揚げ船の船名や入港時期が分かれば返還でき、本人以外の親族でも可能だ。
同税関は「通貨や証券類に金銭的な価値はないかもしれないが、それぞれに詰まった思い出をお返しします」と話している。問い合わせは同税関監視部統括監視官部門TEL0138・40・4244。
提供 - 函館新聞社
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