肝炎対策基本法廃案 道南の患者に失望感
衆議院が21日解散されたことを受け、すべてのウイルス肝炎患者を救済する肝炎対策基本法案が廃案となり、道南の肝炎患者からは「政争に振り回された」「残念」などの声が聞かれ、国政に対する不信感や失望感が募っている。
衆院が解散され、万歳三唱する国会議員を見て、函館市内に住むC型肝炎の主婦(73)は「腹立たしい気持ちになった」。30代のとき、輸血が原因で感染。現在、症状は落ち着いたが、入退院を繰り返し「子供たちに迷惑をかけた」と振り返る。抗ウイルス剤を服用し、医療費が夫の収入の半分を占めたこともあった。「せめて治療費だけでも支援する制度ができてほしい」と切望する。
ウイルス性肝炎感染者は国内で約350万人と推定されていて、多くは輸血や注射の回し打ちから感染する医原病とされている。
同法案は解散前の国会に与党、野党からそれぞれ提出されていた。どちらも患者の治療費負担を軽減する内容が盛り込まれているが、野党案が感染を国の責任と明記したのに対し、与党案は明記しなかった。法案は与野党の案を一本化して審議し採決する流れだったが、衆院解散をめぐる与野党の攻防が激化し、一本化できないまま廃案となった。約30万人分の署名が国会に提出されていた。
B型肝炎訴訟北海道原告団の一員の男性(50)は「(廃案は)残念でならない。命を大切する政治をしてほしい」と次期政権に訴える。
2008年1月、薬害肝炎患者を救済する薬害肝炎救済法が成立。だが、救済されるのは、カルテなどが残されている一部のC型肝炎患者だけで、B型肝炎も含めたすべての肝炎患者を救済される法律が望まれている。
道南の肝炎患者の会、北海道肝炎友の会「はまなす会」の川上博史会長(56)は「政争に振り回された感があり遺憾」と述べ、肝炎患者の治療にも都市と地方の格差がある。すべての肝炎患者が救済される体制ができるまで活動を続ける」と決意を見せた。
提供 - 函館新聞社
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