カール・レイモン「73年前の皆既日食を動物たちと見ていた」
七飯町緑町の元小学校教諭、浅利政俊さん(78)がこのほど、函館でハム・ソーセージの製造に尽力したカール・レイモン(1894―1987)が戦前、現北斗市本郷に開いた小動物園で、1936(昭和11)年6月の皆既日食時に動物の生態観察を行っていた内容の新聞記事や同人誌を発見した。きょう22日、国内で皆既日食が観測できることから、浅利さんは「73年前にあったことを知ってほしい」と話している。
浅利さんはレイモンが開いた小動物園についての研究を続け、昨年9月には同所で飼育されていたライオンの様子について、過去の新聞記事に分析を加えたレポートをまとめている。
研究を進めるうち、73年前の皆既日食について太陽が欠ける時刻などを記述した当時の「函館日日新聞」と、1958(昭和33)年に函館で発行された同人誌「海峡」を発見。浅利さん自身も当時の日食について鮮明に記憶していたことから、これらの記事に注目したという。
「海峡」に記されていたのは当時の新聞記者が執筆したもので、レイモンが開いた小動物園で飼育されていたライオンやサル、ワシなどが皆既日食にどのような反応を示したのか―という内容。「数匹の猿が騒ぎ出し、人間が何をしているのかという表情をしながら、何かレイモンさんに訴えようとしている」「タカやワシも理解しがたい大異変に羽をバタバタと広げて叫んでいる」(いずれも抜粋)とある。
浅利さんは「戦前に日食と動物の生態を観察していた事例は、自分が調査した中では最初の事例」と分析しており、「レイモンは動物の心を見抜くのが上手だった」と話す。
国内で皆既日食が観測されるのは46年ぶりのこと。浅利さんは「日食の美しさを見るだけでなく、生き物にとって太陽の存在がいかに大事なものか、多くの人々に知ってほしい」と訴えている。
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。