タケノコシーズン本番 遭難発生に注意

【上ノ国】道南ではタケノコ(ネマガリタケ)のシーズンが本番を迎えている。毎年のように入山者の遭難が続発する桧山管内では、町や警察が入山時には、天候や地形の確認、装備品の準備などに細心の注意を払うよう呼び掛けている。

 桧山南部(奥尻町を除く)では2004―8年までの過去5年間、春のタケノコシーズンを中心に、山菜採りに伴う遭難騒ぎが頻発している。2日以上にわたり大規模な捜索が行われたケースは10件あり、06年5件、07年2件で、04・05・08年がそれぞれ1件。このうち8件が上ノ国町で発生し、入山者が短時間で発見されたケースは数え切れないほどだ。入山目的は不明だが、今年4月にも町内の大平山付近に入山した84歳男性が遺体で発見された。

 遭難が集中した06年には、4月に厚沢部町でギョウジャニンニク採りの男性が死亡。6月には上ノ国町で4件の遭難が連続して発生した。宮越の道有林で、男性(当時77)が現在も行方不明のまま。湯ノ岱国有林の「上の沢タケノコ園」では、体調不良の60代女性が死亡した。07年6月にも木無岳付近で男性(当時66)が死亡した。

 近年はアウトドアブームの影響もあり、愛好家によるタケノコ採りの人気が過熱気味だ。長引く不景気の影響から、山菜による収入を当て込んだ“セミプロ” も増えているという。さらに業者による乱獲も重なり「産地では良いタケノコが減っている。未明から入山しなければ良いものが採れない」(山菜愛好家)との声も。産地では、火の不始末やごみの投げ捨て、禁止エリアへの進入や林道ゲートの破壊などの悪質な行為も目立ち、入山者のモラルの低下が指摘されている。

 上ノ国町は道南有数のタケノコ産地だが、後を絶たない遭難騒ぎに、捜索に当たる町は対策に頭を悩ませている。遭難が相次いだ06年は、町、警察、消防、自衛隊から延べ約1000人が捜索に出動。町は500万円以上の負担を迫られた。町内では6月3日に「上の沢タケノコ園」が3年ぶりに開園する。04年は4418人、05年は3647人が入園。06年はエリア内で2人が遭難し、シーズン半ばで休園した。07・08年も、国有林内で大規模地滑りが発生したため開園を見送っていた。今年からは事故防止のため、閉園時間を午後3時から同1時に切り上げたが、捜索関係者は「管理者側で十分な捜索態勢を講じているのか」と神経をとがらせている。

 昨年までの遭難者はいずれも、天候不良、体の不調、装備や知識の不足などの無防備ぶりも目立った。町や警察は㈰天候の確認㈪体調の管理㈫家族に行き先や帰宅時間を知らせる㈬目立つ服装での入山㈭携帯電話や非常食の携帯㈮笛、ラジオ、懐中電灯の携行―など、入山時には細心の注意を払うよう求めている。

update 2009/5/24 11:25
提供 - 函館新聞社


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