小山内龍の生涯一冊に…近江さん資料などまとめる
南北海道史研究会会員の近江幸雄さん(72)=函館市白鳥町=が函館出身で絵本作家、漫画家、挿絵家などとして活躍した小山内龍(本名・沢田鉄三郎、1904―46年)の生涯をまとめた「小山内龍―北の絵本作家」がこのほど、サッポロ堂選書3として発売された。近江さんが小山内に関する冊子を発行するのは2回目で、「戦前の児童文学で活躍した小山内のことをよく知ってもらえれば」と話している。
小山内は上京し、31(昭和6)年、雑誌「アサヒグラフ」の懸賞漫画で入選し、漫画家デビュー。32年から「フクちゃん」で知られる横山隆一らが設立した「漫画集団」に加わり幅広く活躍。46年に疎開先の旧大野町で42歳という若さで病死した。
近江さんは20数年前から小山内の研究をしている。「何事にも情熱的な姿に引かれた」と話す。96年から98年まで、函館のタウン誌「街」で「小山内龍ノート」と題し9回にわたり小論を連載した。それらを99年に小冊子としてまとめたところ、サッポロ堂書店(札幌)から本書の執筆を依頼されていた。今回は、最近に遺族から提供を受けた、小山内の晩年の日記「終戦日記」など資料などを増補して発行した。近江さんの小山内作品との出会い、名作誕生の秘話、漫画や絵本作家、労働運動との関わりなど、さまざまな角度から小山内を紹介している。
近江さんは「資料の入手が困難など、今後に小山内の生涯を紹介する冊子が出る機会は難しいと思う。函館ではあまり知られていない存在なので、あらためて人間像を分かってもらえれば」と話している。
A5判、54ページ。300部を印刷し、一部800円で発売中。函館では文教堂書店、くまざわ書店などで取り扱い中。
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。