丸井今井函館店存続決定、安どと引き締めムード

 民事再生手続き中の道内百貨店「丸井今井」(札幌市)が30日、経営再建を支援するスポンサー企業に三越伊勢丹ホールディングス(東京)を選定したことで、存廃に揺れた函館店(函館市本町)の存続と旭川店の閉店が決まった。市内の関係者には安どの表情が広がる一方、従業員の雇用や今後の店舗運営を憂慮する声も少なくない。

 同日午後に開かれた臨時取締役会で正式に決定。丸井今井によると、三越伊勢丹が3―4カ月後に設立する新会社に札幌本店と函館店の営業権を譲渡する。パートを含む従業員はいったん全員解雇し、新会社で再雇用する方針。函館店では現在の約210人のうち40人前後が削減される見通しだ。

 函館店については「他の地方店と比べ商圏が独立しており、床面積当たりの売り上げが高く、収益力がある」(秘書広報室)と位置付け、スポンサー候補だった高島屋(大阪)の再建案にも存続が盛り込まれていた。ただ、高島屋の提示額では債権者への理解が得られないと判断した。

 スポンサー決定を受け、西尾正範函館市長は記者会見し「市民の(存続への)強い思いが通じ一安心している。今後も関係機関に従業員の雇用確保やテナントへの配慮を要請し、地域の核店舗として機能していくよう努力したい」と述べた。函館商工会議所の高野洋蔵会頭は「今後、地域経済界としても支援につながる各種事業を展開し、一層の応援に努めたい」とコメントした。

 一方、同会議所幹部は「まだスタートライン。もろ手を挙げて喜べる段階ではない」として慎重な姿勢を崩していない。函館店の30代の女性従業員も「残るのは良かったが、リストラされるとすれば自分たちもいつどうなるか分からないので落ち着かない」と不安を隠さない。

 函館店を訪れた近くの自営業の女性(58)は「少々高くても函館のシンボルのようなデパート。残ってくれてうれしい」と歓迎する一方、市内杉並町の男性(76)は「百貨店には夢があるが、現実は専門店で買う方が多い。これまで通りの売り方では客のニーズに応えられていない」と注文を付けた。

 地元商店街は今回の決定に胸をなで下ろしつつ、引き締めムードが漂う。五稜郭商店街振興組合の小島正彦理事長は「従来の大型店依存の集客を改めるチャンス。商店街との競争で相乗効果が生まれれば」、協同組合五稜郭の久保一夫理事長は「行政のサテライト機能の設置など人が自然と集まる仕掛けづくりが急務」と努めて冷静に話していた。

update 2009/5/1 09:20
提供 - 函館新聞社


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