道新幹線 並行在来線の経営分離 誰が線路保有する?

 北海道新幹線新函館―新青森開業後、JRから経営分離される並行在来線の江差線五稜郭―木古内間(約38キロ)の代替輸送について、沿線3市町と道で議論が始まる。多額の赤字が見込まれる第三セクター鉄道で存続された場合でも、赤字見通しが小さいバス輸送に転換した場合でも、五稜郭―木古内間はJR貨物が走り、線路は残る。だが、JR貨物は法律で線路などの資産を持つことができない。ならば誰が線路を保有、管理していくのかという問題がある。

 函館、北斗、木古内の2市1町と道でつくる道南地域並行在来線対策協議会がまとめた需要予測調査では、三セク鉄道で路線を維持した場合、30年間で100億円以上の累積赤字が見込まれている。運賃の値上げや三セクへの人件費支援、道などが線路を保有、管理した場合など、最大限の負担軽減をした場合でも赤字は約21億円までしか圧縮できない。バス転換した場合では、30年間で約25―12億円の累積赤字が見込まれている。

 函館市と木古内町は「三セク鉄道でもバス転換でも、地元負担の大きさが判断材料」という。北斗市は「基本的に鉄路を残した存続方法を模索したいが、函館市と木古内町との調整も必要」との意向。3市町とも需要予測をたたき台に、望ましい公共交通の在り方を議論していく。

 新幹線開業後の並行在来線は全国で全4路線。いずれも第三セクター方式により運行が続けられている。青森県の「青い森鉄道」は、県が線路などの鉄道施設を保有し、会社は列車の運行だけをする「上下分離方式」を採用し、公共の負担が大きい。

 先の議論になるが、赤字の大きさから仮に五稜郭―木古内間の代替輸送をバスとした場合、全国で初めて並行在来線を廃止するケースとなる。しかし、JR貨物は走るため函館市の幹部は「三セク鉄道にしろバス転換にしろ、誰かが線路を持たなくてはならない」と指摘する。JR貨物は基本的に線路を持つことができないためだ。

 渡島支庁は「並行在来線の経営分離後、道が責任を持って貨物線路は守ることを約束している」といい、仮に旅客輸送が廃止になっても道などの公共が線路を維持する方向となっている。結局、どちらを選んでも線路は維持しなければならないため、三セク鉄道の方向を模索すべきという声も出てきそうだ。

 5月7日に渡島支庁で道南地域並行在来線対策協議会が開かれ、議論が始まる。

update 2009/4/30 15:20
提供 - 函館新聞社


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