函館市水道局、湯の川に4年間で泉源9本掘削

 湯の川温泉の湯量減少問題を抱える函館市水道局は、本年度から4年間で泉源を9本掘削し、現在所有する22本の使用を順次中止し、代替・集約化する。適正な揚湯(ようとう)と資源管理が目的で、本年度実施する1本の掘削許可が道から下りた。道内有数の温泉地を支える泉源を替える事業で、総額2億2500万円を見込んでいる。

 水道局は泉源からくみ上げた温泉をホテルや旅館、一般家庭などへ供給している。湯川町と湯浜町の一帯は道の要綱で温泉保護地域に指定され、泉源の新規掘削は認められないが、自治体が温泉を統合管理する場合などでは例外として認められる。

 湯の川温泉は1975年ごろまでは自噴していたが、過度のくみ上げが原因で水位が低下。現在は動力ポンプ(エアリフト)を使用し、井戸の中に空気圧を送りながらくみ上げている。

 同局温泉課によると、新たに掘る泉源は、湯の中に直接パイプを入れる水中ポンプ方式を取り、エアリフトに比べて効率的な揚湯ができる。本年度は約2200万円の予算で、湯川町3の1、市営熱帯植物園内の前庭に掘り、湯脈は地下80メートル、毎分800リットルのくみ上げを計画している。周辺の既存3泉源の代替となり、1日当たりの揚湯量は1100立方メートルほどという。

 掘削は09年度1本、10年度3本、11年度3本、12年度2本の予定で計9本。うち3本は予備の泉源とする。

 湯の川温泉の泉源は水道局所有が22本、民間所有が14本ほどあり、水道局が道立地質研究所に依頼した調査で、2006年度は湯の川温泉全体で1日平均6000立方メートルの揚湯量があった。同研究所は、このままくみ上げると温泉資源の枯渇を招くため、適正な揚湯量を1日当たり4100―5300立方メートルと報告した。4100立方メートルとすると、06年度比で3割減らさなければならない。

 市が所有する泉源は昭和30年代後半から40年代にかけて掘削されたものが多い。井戸によって差はあるが、水位は地上から12―13メートル下で、年間50センチほど低下しているという。現行のエアリフト式でくみ上げる場合、ガリ(湯の花)がパイプの中に付き、閉塞(へいそく)が進み、定期的にパイプを入れ替えるなど対策を進めている。

 泉源の掘削により、同じ湯脈に泥などが混じる恐れもある。同局は「掘削することで他の泉源に濁りが生じたりした場合は、作業を一時中断して対策を取るなどしたい」と話している。

 温泉街のホテルや旅館からは「資源管理のためならば良いのではないか」「温泉を守る対策だろうが、それならば水道局が方針を示した温泉供給料金の大幅な値上げを撤回してもらいたい」などさまざまな声が聞かれる。

update 2009/4/20 12:01
提供 - 函館新聞社


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