要介護認定見直しで懸念の声
介護保険の要介護認定の方法が今月から変更となった。地域による要介護度のばらつきを是正しようと、厚生労働省が認定の仕組みを見直したが、「従来よりも要介護度が軽くなる人が続出する」と指摘されている。函館の介護現場でも懸念の声が広がっている。
要介護認定は、訪問調査員が高齢者の自宅を訪れ、聞き取り調査を行った後、コンピューターで1次判定を出す。続いて、市区町村が設けた認定審査会に諮り、要介護度(要支援1から要介護5まで7段階)が決まる。
要介護認定の変更をめぐっては、同省が調査項目を82から74に変更する方針で公表したが、市民団体などが調査項目に疑義を唱え、開始の8日前に一部改定。反発の声を受けて10日には激変緩和措置を導入する方針を固め、指針が目まぐるしく変わっている。
同省の示した新方式にいくつかの修正を求めた「認知症の人と家族の会」(本部・京都)の理事を務める大橋美幸さん(40)函館大准教授は「一定の周知が図られるまで凍結するよう求めてきたが、ほごにされた」と、新方式の認定方法を始めた国の対応に不信感を募らせる。
市内の介護施設に母親を入所させている50代の主婦は「体の状態が変わっていないのに軽度判定されるのは納得できない」と首をかしげる。
新基準による判定は、6月以降に認定期間が切れる利用者を対象に適用され、5月以降に結果が明らかになる見通し。「自立や介助なし」と判定されると、要介護度が軽いと判定され、利用できるサービスが限られてくる。
市内の居宅介護施設でつくる市居宅介護支援事業所連絡協議会の中村清秋会長(50)は「はっきり把握していないが、軽度化される利用者は少なからず出てくるはず」と予測し、「要介護4、5の人を在宅サービスで介護するのは無理な話。適正なサービスが受けられない利用者が増えてくるのでは」と指摘している。
毎週木曜に市総合福祉センターで介護相談などを行う市民団体「函館認知症の人を支える会」の佐藤悠子会長(65)は「認定方法が見直しとなっても本人だけでなく実態を把握している家族の声を聞くよう訴えていきたい」と力を込める。今後、利用者の認定結果の情報収集もしていく考えで、佐藤会長は「もし実態よりも軽度な認定を受けた場合は連絡してもらいたい」と呼び掛けている。
提供 - 函館新聞社
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