江差線三セク収支予測、30年間で赤字117億円

 2015年度に予定されている北海道新幹線新函館―新青森開業で、JRから経営分離される江差線の五稜郭―木古内間(約38キロ)を第三セクターで存続させた場合、30年間で約117億円の累積赤字が見込まれることが分かった。バス転換ならば累積赤字は約12億円に圧縮される。

 道、函館市、北斗市、木古内町で組織する道南地域並行在来線対策協議会(会長・高橋はるみ知事)が8日、発表した。

 昨年の1日当たりの江差線推計利用者は2418人で、1キロ当たりの輸送密度は760人だった。開業後初年の16年の利用者数は2255人、輸送密度は666人だが、30年後の45年には人口減がさらに進み利用者が1375人、輸送密度は305人に減少する。

 三セク鉄道を設立した場合、JRからの資産譲渡や車両購入などの初期投資に約41億円が必要。開業初年から赤字で、初期投資資金を会社が借り入れした場合、30年間で累積赤字は約185億円に達し、初期投資の全額を自治体などが補助しても30年間で約117億円の赤字となる。

 このため収益増やコストダウンが必要となる。赤字117億円の補助金方式をベースに運賃を3割増しにした場合、30年間の累積赤字は約106億円になる。それに三セクへ人件費を支援した場合、累積赤字は約81億円に圧縮。さらに自治体などが鉄道施設を維持管理し、三セク会社は運行だけをする場合を加えても、累積赤字は約21億円で黒字にはならない。仮に三セク鉄道の赤字を最低限に抑えたとしても、道や地元自治体など公共の負担が増えることは間違いない。

 一方、バス転換した場合、列車に比べて定時性や輸送力が下がり、運賃は上がるため、乗客はさらに減少する。バス転換も開業初年から赤字だが、乗客が50%減少した場合は30年間で累積赤字が約25億円、乗客減が25%でとどまった場合は同約12億円の赤字で済む見通し。

 調査結果は8日、道が道議会新幹線総合交通体系特別委員会に報告した。同協議会は5月に渡島支庁で開く会合で報告を受け、11年度までにJRから経営分離後の江差線の代替輸送をどのようにするか結論をまとめる。

update 2009/4/9 13:23
提供 - 函館新聞社


前のページにもどる  ニュースをもっと読む


ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです