北朝鮮ミサイル発射 渡島にも緊張走る
北朝鮮が5日、弾道ミサイルを発射したことを受け、函館をはじめとした渡島地域の各自治体や関係機関では情報伝達や安全確認などの対応に追われた。大きな混乱や被害は確認されていないが、市民からは北朝鮮に対する非難や、政府に強い態度を求める声などが聞かれた。
函館市役所では前日に引き続き、武田忠夫防災担当参事ら職員9人の警戒態勢を敷き、本庁舎6階の総務部で情報収集に当った。午前11時10分ごろ、テレビの臨時ニュースで「まもなくミサイル発射の模様」との情報を確認すると、フロア全体に一気に緊張が走った。
同33分、政府の緊急情報ネットワークシステム「エムネット」が作動し、武田参事のパソコンに「北朝鮮から飛翔体が発射された模様」との第1報が入ると、職員が武田参事の周囲に集まり、慌しく情報の整理や集約に努めた。
受信情報には飛翔体の落下が予測される時刻や場所なども順次追加され「日本上空を通過したと推測される」との第4報が同39分に入ると、現場にはようやく安堵(あんど)の雰囲気が漂い、職員は続報を注意深く見守った。
エムネットによる情報は同55分、「日本の東2100キロの太平洋上で追尾終了」「引き続きテレビ、ラジオの情報に注意してください」との第8報で打ち止めとなった。この日は市民からの問い合わせやシステムトラブルなどの混乱はなく、各支所、市役所ともに担当職員が常時待機する態勢は午後3時までに解除された。武田参事は「まずは被害が何もなく一安心している」と話した。
函館市消防本部では、前日同様に管理職4人による情報連絡室を立ち上げ、「ミサイル発射」の情報を受けると同時に各部署の責任者を招集。地域の安全を確認した上で夕方までに解散した。渡島支庁では地域政策課の防災担当職員4人が朝から臨時待機。道の危機対策局から電話でミサイル発射の報を受け、管内の各関係機関に連絡を取り被害や混乱がなかったことを確認すると、午後1時に1人を残して警戒態勢を解いた。
今回のミサイル発射に対しては、直接的な被害が見られなかったためか、市民の反応は比較的冷静だった。北大水産学部修士1年生の大前智哉さん(23)は「自分の住む地域と離れた場所のことで、日本に落ちるという危機感はなかった。(日本海に)落ちたと知った時も『そうか』という感じだった」と話す。一方、市内のタクシー運転手の男性(57)は「発射はラジオで知り『やっぱりやったんだ』と思った。日本だけでは相手にされないので(米国など)他国と連携して北朝鮮を非難すべきだ」と、政府の強い対応を求めていた。
提供 - 函館新聞社
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