石積み防波堤どうの復元、検討会が方策案まとめる
建設から100年以上が経過し、産業遺産、歴史文化財しての価値の高い函館漁港舟入澗防波堤(石積み防波堤)の復元方策を考える検討会(座長・長野章公立はこだて未来大教授)が16日、函館市若松町のフィットネスホテル330函館で開かれた。検討会の開催は2003年度以来5年ぶり。この日は検討会の前に現地見学会が開かれ、委員ら関係者が防波堤の現状を確認。検討会では前回の会合までに示された課題について協議し、部分、部位別ごとに破損部分の復元方策を大筋でまとめた。
同防波堤は、1899(明治32)年に完成。近代港湾施設の先駆けとなったとして2004年に土木学会の「選奨土木遺産」、06年には水産庁の「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財100選」、今年2月には経済産業省の「近代化産業遺産群」に選定されている。
現在も防波堤としての機能を果たし、プレジャーボートの係留場所となっているが、老朽化が進み、石積みの一部欠落や灯台の基部露出が目立っている。
函館開発建設部が策定した函館漁港特定漁港場整備事業計画には同防波堤の復元を登載していて、02年度、03年度の検討会では防波堤の現状維持を基本とした補修・復元方法を探ってきた。
検討会のメンバーは同部や市、渡島支庁の幹部や学識経験者8人で構成。この日の会合では事務局側がこれまでの経過と現地調査の結果を報告するとともに、復元方策案を示した。
全体の保存方針として、近代土木遺産として技術、系譜、意匠の価値低下を可能な限り抑えることや、漁港としての利用上の安全性、漁港と調和した景観面にも配慮しながら補修、復元を行うことで申し合わせ、堤頭部、灯台部分、堤幹部など部位別に示された補修案について質疑を重ねた。委員からは「安全性を確保する場合の補修はどこまで許されるか」の指摘に対し、東北芸術工科大歴史遺産学科の田中哲雄教授は「文化的価値として復元するのであれば形体、構造を変えない程度の修復が望ましい」と見解を示した。
同部は新年度に追加調査と施行方法の検討を進め、10年度末を目途に復元工事に着手する考え。
提供 - 函館新聞社
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