白百合高吹奏楽部に都響の故高藤さんのトロンボーン寄贈

 旧上磯町出身で元東京都交響楽団(都響)のトロンボーン奏者、故高藤重孝さんが長年使用していた楽器がこのほど、函館白百合学園高校吹奏楽部(中村香澄部長)に寄贈された。同吹奏楽部にプロの演奏家の愛器が寄贈されるの初めてで、顧問の前田浩史教諭(42)をはじめ、部員一同は大喜び。前田教諭は「一流のオーケストラで活躍していた演奏家の情熱や魂が、楽器を通じて生徒に伝わってくれれば」と期待を込める。

 高藤さんと前田教諭はともに武蔵野音楽大(東京)の出身。函館出身の前田教諭がトロンボーン専攻で入学したころには高藤さんは既に都響で活躍していた。前田教諭は「都響の演奏会には足しげく通い、高藤さんの演奏技術や音色をよく勉強していた。同郷の後輩ということが分かると、高藤さんはかわいがってくれた」と当時を懐かしむ。

 15年ほど前に亡くなった高藤さんの楽器は、遺族の手を通じて高藤さんに師事していた市内在住の男性に渡った。前田教諭は約10年前に市内の演奏会でこの男性と知り合い意気投合し、交流を続けてきた。仕事で忙しい男性は普段楽器に触れる機会が少ないことから、前田教諭に「トロンボーンを譲りたい」と話を持ち掛けた。「自分が持つよりも、夢のある部員に吹いてもらうほうが天国の高藤さんも喜ぶのでは」と考えた前田教諭は、男性から快諾を受け、同吹奏楽部への寄贈されることが決まった。

 楽器はイギリス製のテナーバストロンボーンで、既に製造中止となったモデル。前田教諭によると、現在の一般的な楽器と違い、音程を下げる役割を持つバルブ「Fロータリー」がチューニング管(音程を調節する管)のそばにある外観が特徴という。男性が10年以上メンテナンスを怠らなかった楽器の音色については「とても優しい温かみのある音色が出る。吹いてみると、穏やかで真面目だった高藤さんの人柄を感じることができる」と話す。

 同吹奏楽部のトロンボーンパートは2年の中村部長(17)と1年の今野綾香さん(16)。中村部長は「吹いてみたらとても音がまろやかで驚いた。寄贈はわたしたちだけでなく、部員全員の励みになる」と声を弾ませる。今野さんは「この楽器で一生懸命練習して、良い演奏ができるようになりたい」と喜びをあらわにしている。

update 2009/3/17 10:58
提供 - 函館新聞社


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