【インサイド】支庁再編修正案は示したが…組織機能 慎重な議論を
【江差】高橋はるみ知事が13日、支庁再編条例の修正に踏み切る方針を示したが、法的位置付けが「支庁」に戻る振興局の組織機能の検討や条例修正の進め方をめぐり、慎重な議論を求める道町村会や江差町との認識は食い違っている。新たな混乱の火種になりそうだ。
道議会は昨年6月、振興局の位置付けを地方自治法上の「支庁出張所」とする支庁再編条例を可決した。だが、公職選挙法は、道議会議員の選挙区を都市と14支庁ごとに定めている。支庁が無くなる檜山などの選挙区を維持するには、公選法に「支庁出張所」を盛り込む必要があった。だが、支庁再編が地方衰退につながると訴える道町村会は、条例施行に欠かせない公選法の“改正阻止”を掲げて抵抗。政府与党に“待った”をかけられた知事は、施行前の条例を修正する事態に追い込まれた。
急浮上した再編条例の修正について、濱谷一治江差町長は「振興局の具体像を示した上で修正するのが筋道だ。道は何も学んでいない」とし、議案提出を急ぐ知事の姿勢を批判。町幹部も「道が振興局の組織機能を約束しなければ、住民の不安や反発は解消しない」と漏らす。
道町村会長の寺島光一郎乙部町長も「総合振興局と振興局の位置付けを並列にするなら、14支庁には同等の権限や機能を与えるべき」と主張。条例の修正よりも先に道が支庁改革の指針とする「新しい支庁の姿(修正案)」を抜本的に見直すことが先決との認識だ。
しかし、道は新年度に修正条例を施行してから、振興局から総合振興局に移す広域的事務などの具体案を道町村会など地方4団体と詰めたい考え。知事権限で行う毎年の機構改革で、支庁の縮小を進める方針も変えていない。条例修正の進め方や振興局の在り方をめぐっては、道と町村会などの認識はことごとく食い違っている。
修正案を提示された議会側でも「全般にわたる議論が必要。審議日程に無理がある」「議会も市町村も納得しなければ再び禍根を残す」と議論百出の状態。知事与党の自民党でさえ、修正の是非をめぐり会派は四分五裂の混乱が続く。「年度末が迫り会期延長は困難。提案しても継続審議になる」(議会関係者)との見方も広がる。
迷走を続ける支庁再編をめぐる議論。その末に生み出されようとしている振興局の姿は、知事が固執した窓口機関ではなく、町村会が求める14支庁でもない。ましてや住民が渇望する地域密着の出先機関でもない。改革のスピードよりも地域との対話が何よりも欠かせないはずだ。
提供 - 函館新聞社
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