19日から岩田治子さんの油絵チャリティー展
展覧会の売り上げを函館市に寄付し、美術品の収蔵庫建設につなげる運動が、同市内で始まる。函館出身で東京在往の画家岩田治子さん(81)の小品を販売する「美術品収蔵庫建設基金づくり 岩田治子花と果実油絵チャリティー展」(19―24日、いしい画廊菔本町31)。同展実行委代表の関輝夫さん(83)は「美術品を後世に伝えるために収蔵庫の建設を願う。今回の活動がそのきっかけになってくれれば。岩田さんの名品を格安で手にできる機会なので、ぜひ来場してほしい」と話している。
函館市民会館初代館長や函館文化会会長を務めた関さんはこれまで、岩田さんの父で、函館の洋画発展の礎を作った故佐野忠吉さんなどの作品を市立函館博物館などに寄付してきた。一部の施設では寒暖の差が激しい場所に絵が展示されて変色するなど、保存状態は良い状態ではなく、自ら出費し寄付した作品を修復したこともある。「時世がら美術館の建設は難しいが、収蔵庫があれば市内各地から美術品が集まり、良い状態で保存でき、市にとって大きな財産となる」と話す。市が収蔵庫建設基金として寄付を受けることを承諾し、今回のチャリティーを企画した。「寄付を受けることで、今後に(建設の)期待ができる」と笑顔。
岩田さんは1927年函館市で生まれ、洋裁や服飾の仕事の傍ら、50年代後半から油彩画の制作を始めた。第一美術協会に作品を出展。繊細でみずみずしさがあふれる写実的な絵を次々に発表し、現在も同会会員として活躍する。
出展されるのはサムホールから10号までの小品約50点。中心は3号(3万5000円)、4号(4万5000円)。描かれているシャクヤク、シクラメンなどの花や洋ナシ、桃などの果物は遠近や陰影が鮮やかで、美しく細密に描写されている。制作年は主に80年代半ばから90年代後半にかけてのもの。60歳を超えてからも意欲的に取り組む情熱を感じさせる。
関さんは「函館は古くから、経済人が教育、文化を支えてきたほか、目前にある古いものを理解し、進んで大切にしてきた。いわば、協働の精神に満ちあふれていた。現代になって忘れかけているこの函館人気質をよみがえさせる契機にもなってほしい」と話している。
同展は入場無料。午前10時から午後6時(24日は同5時)まで。問い合わせは函館文化会事務局TEL0138・54・8987)
提供 - 函館新聞社
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