湊前森町長に有罪、官製談合指示を断罪
「談合の成立過程で町長の地位と影響力を利用し、重要な役割を果たした」―。森町の官製談合事件で函館地裁は24日、競売入札妨害(談合)罪に問われた前町長、湊美喜夫被告(80)に対し、町政の最高責任者として談合に加担した事実を厳しく非難した。37年間の長きにわたり、町民の圧倒的な支持を背景に権勢を振るった湊被告には、晩節を自らの犯罪行為で汚す結果となった。
判決公判は、同日午前9時45分に開廷。車いすを押されて入廷した湊被告は、親族に支えられて証言台の前に立ち上がり、正面に柴山智裁判長をじっと見据えた。柴山裁判長は、判決理由で検察側の主張をほぼ全面的に認め、湊被告が長年の慣行となっていた町内の談合体質を黙認し続けた事実や、部下や町内業者幹部らは町長の意向に逆らうことができなかったとし、絶対的権力に対し“もの言えぬ空気”があったと認定した。
閉廷後、報道陣の問いかけにも応じず、湊被告は無言のまま、函館地裁を後にした。湊被告の弁護人は「控訴は判決をよく読んだ上で、検討したい」と話した。
一方、昨春の疑惑発覚から同事件に振り回された森町内では、前町長の判決を過去のこととして淡々と受け止める声が聞かれた。この日、佐藤克男町長は公務出張のため不在。輪島忠徳総務課長は「町長も何もコメントすることはないと思う」と話した。
長年、湊被告を支持していたという同町内の主婦(64)は「がっかりの一言。今の町長はお年寄りを大切にするし、町をよくしていこうという気持ちが伝わってくる」と話し、町政のこれからを期待した。別の農業の男性(81)は「有罪判決は個人的には何とも言い難いが、町発注の工事を地元業者に還元したいという気持ちは分からなくもない。ただ、事件は町民のための行政を行うきっかけとなったのではないか」と話していた。
提供 - 函館新聞社
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