ガリ版の美しさにひかれ引かれ…道南唯一 新出さん作品作り

 【七飯】七飯町に住む新出誠さん(63)は、昔懐かしい謄写版(ガリ版)を使った作品作りに約40年間取り組んでいる。近年は出身地・江差町の姥神大神宮例大祭の山車や非常勤講師として勤める函館遺愛女子高校周辺の風景などをモチーフとし、友人らに配って喜ばれている。今では道具も手に入りにくく、新出さんは道南で唯一の“ガリ版愛好者”となった。「想像以上に仕上がるとうれしい」と魅力を語っている。

 ガリ版は孔版画の一種。ヤスリの上に置いた原紙に鉄筆などで製版し、ローラーで刷る日本独特の印刷方法だ。約30年前までは学校や官公庁などでよく活用されたが、パソコンなどの普及で姿を消した。

 新出さんが頻繁に使うようになったのは1968年、奥尻町の稲穂小学校に教員として採用されてから。そこで別の学校の教員が作ったガリ版の印刷物を目にし、「見事なゴシック体や濃淡のある挿し絵に魅せられた」という。

 ガリ版の美しさに引かれ、75年に転任した八雲町熊石高校時代には愛好者団体に参加。通信教育も始め、文字のや絵の技法を習得した。ガリ版での手作り年賀状にも凝るようになり、年々工夫を重ねていった。

 2006年に七飯高校を定年退職した後、時間に余裕ができた分、作品づくりにのめり込んだ。15歳から毎年参加するほど愛着のある江差町の同例大祭の13台ある山車を1台ずつ描き、既に7台分が完成した。作品は同級生らに配布し、遠くに住む仲間からも「祭りの雰囲気を思い出して元気になる」と好評を得ているという。

 勤務先の遺愛女子高周辺の美しい風景も題材とし、旧宣教師館(通称・ホワイトハウス)周辺でクロッカスが咲き誇る光景や、サクラ散る本館の様子などを製版。絵はがきも作り、教え子や教員らにプレゼントした。

 作品はどれも多色刷りで色鮮やかに仕上がり、素朴な味わいがある。新出さんは「絵画として目を楽しませるような作品づくりが目標。印刷するのが楽しみで、今後も続けたい」と意気込んでいる。

update 2009/2/14 15:38
提供 - 函館新聞社


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