歴風文化賞に5件
函館の歴史的風土を守る会(落合治彦会長)は12日、後世に残したい建造物や風景を指定する「第26回歴風文化賞」を発表した。保存建築物に高杉園子邸(函館市万代町4の25)、(やままる)田中米穀店(同市亀田町7の9)、種田剛邸(北斗市中央1の4の10)、団体賞に北の縄文CLUB(函館市臼尻町、桜井弘之会長)、原風景に亀田川(同市)の5件が選ばれた。
同会が1984年から毎年実施している指定で、同会の会員が推薦した候補リストから選考した。選考基準は建造物の貴重性、景観への寄与、歴史性、地域の町並みや社会全般への波及効果―など。
高杉園子邸は28(昭和3)年に木造2階建て住宅として建てられた純和風の建築物。先代は青果商を営み、商いの事務所としても使用された。室内の土壁、廊下・階段などの部材、建具などは創建当時のまま美しく保存され、昭和初期の函館の住宅史を知る上で貴重な建物。
田中米穀店は18(大正7)年に木造平屋の店舗兼住宅として建築された。店より奥の部分が住宅で、伝統的な「通し庭」と呼ばれる「通り土間」の一部が現存する。柱や梁(はり)などの主要な構造物に変更はなく、外観、室内とも創建当時の面影を残し、大正期の函館の伝統的な町屋建築の歴史を知ることができる。
種田剛邸は大正期に木造平屋の専用住宅として建造された。北斗市からは4件目の指定で、外観は下見板張りの外壁、妻側上部の妻飾り、軒裏や屋根の意匠などが創建当時のまま残されている。柱や梁の部材の接合に巧みな技術を用い、くぎが1本も使われていない。
団体賞を受ける「北の縄文CLUB」は、南茅部地区で縄文遺跡発掘作業に従事する女性を中心に98(平成10)年に発足。豊かな自然とともに生きた縄文人の精神と文化に学び、土器作り体験講座などを開き、国宝の中空土偶が出土した「北の縄文文化」を広く普及させている。
原風景の亀田川は、横津連峰に連なる袴腰岳に源を発し、函館の市街地を流れて津軽海峡に注ぐ。水源として人々の命を守り、憩いの場として多くの市民に親しまれてきた。市民団体による清掃活動や水辺での体験学習の場としても利用されている。
表彰式は20日に函館市末広町の五島軒本店で開かれる同会チャリティーパーティーの席上、行われる。
提供 - 函館新聞社
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