自主防災組織 年々増加 活動減少
1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災の惨事を教訓に、各地域で自主防災組織が広がりを見せている。住民がそれぞれの地域で防災活動に取り組むもので、函館市内でも町会単位で発足が進んでいる。組織を立ち上げることで役員や会員間の連携が強化され、有事の際の役割分担も明確になってくるが、一方で防災訓練への住民の参加率が思うように伸びず、役員も高齢化してくるなど、組織をより有効に機能させるための課題も浮き彫りになってきている。
市総務部防災担当によると、昨年末現在、市内全188町会中56町会が自主防災組織を発足させた。全体の3割ほどだが、03年以降は5―10町会のペースで年々増加傾向にある。
市が自主防災組織育成指導要綱(2000年8月施行)に基づき、各町会に呼び掛けて組織づくりを促しているが、実際に立ち上げるか否かは各町会の自主性に任されている。
自主防災組織の平常時の活動は防災にかかわる知識の普及や防災訓練の実施、地域内の安全点検、防災用資機材の点検など。ただ、町会が母体となっているため、役員の高齢化や町会活動への参加率の低さなど、町会が抱える悩みが組織の運営にもマイナス要因として反映されている。
06年に組織を立ち上げた川汲町内会(酒井鉄雄会長)は一昨年、昨年と消防署や市の防災担当者らの指導で防災訓練を実施。土砂災害の恐れがある地域のため、毎年訓練を続ける考えで、澤田茂総務防災部長(68)は「訓練で参加者の防災意識は高まる」とする半面、「日中働いている住民の訓練への参加率をどう高めていくかが課題」と指摘する。
一方、参加人数が見込めないなどで大掛かりな防災訓練を実施していない町会も多く、03年12月に組織を立ち上げた大川町会の新谷則会長(73)は「地域の防災活動の大切さは認識しているが、近年は実質的な活動ができていないのが現状」という。亀田本町第五町会(黒澤紀夫会長)の水科邦雄防犯防災部長(80)は「会員全員の防災訓練を実施したいと考えているが、めどは立っていない。地道な啓発活動を続けて防災意識を高めるしかない」という。
毎年、防災訓練を実施している石川町会の山崎敏昭会長(63)は「近年、宅地造成などで人口は増えている。新しく住みいた人にも呼び掛けていきたい」としている。
提供 - 函館新聞社
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