称名寺住職、須藤隆仙さん 仏教名言・名句事典を出版

 函館市船見町の称名寺住職で、宗教や歴史関連の著作が多数ある須藤隆仙さん(79)が、新人物往来社から「仏教名言・名句事典」を出版した。仏典や先哲の遺文、語録などから450の名言や名句を選び、出典と解説を付けて紹介している。須藤さんは「命の大切さや欲望などについて宗教臭くならないようにまとめた。困った時に何かのヒントになれば」と話している。

 須藤さんは同社から「仏教四文字熟語辞典」「世界宗教用語大事典」などを刊行済みで、名言・名句事典は2006年に出版の依頼を受け、3年がかりでまとめた。仏教経典だけでなく、聖徳太子や宮本武蔵、ことわざなどからも仏教に関する言葉を集め、仏、法、天地自然、欲望、善悪、生命など19項目に分類した。

 難しい原典を意訳で紹介している点が特徴。白隠の「草を取るならば、よく根を取らなければすぐまた生える。人間も煩悩の根元をよく切っておかないと悪い自我(エゴ)が出て、いろいろな失敗をする」、親鸞の「真実の人と会えるのは非常に難しく、虚偽の人とは嫌というほど出会う。世の中とはそういうもの」などは、自然界や人間界の本質を説いている。

 仏教は教えや戒律が厳しいという印象が違って見える名句もある。男女の性欲について、理趣経では「元来、子孫を残すために具備されているものだから、その根本義は清浄である」と説く。最澄は「悪いことは自分で引き受け、よいことは他に回す」と述べたが、須藤さんは「なかなかできることではないが、そうした努力をしていくことがよい社会を築くため、いつの時代も必要」との意味であることを添えている。

 聖徳太子の「人が自分と違うことに怒るな。人も自分も共に平凡人である」の言葉からは、世界で紛争や戦争が絶えない中、他者との違いを認めることの大切さが伝わってくる。

 紹介した名言・名句は宗派を問わず、示唆に富み、心に響く。須藤さんは「仏教は自然に従い、自然に返る教え。鳥獣をかごに入れたり、ペットに服を着せたり、人間のエゴは自然に逆らっている。生きていくということは、自然を見習うということ。そうしたことなどが伝われば」と話している。 A5判、箱入り297n。定価9450円。問い合わせは最寄りの書店へ。

update 2009/1/10 10:13
提供 - 函館新聞社


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