佐々木さん、戦前の絵はがき5000枚収集
函館市乃木町に住む佐々木徹也さん(74)は、戦前に発行された絵はがきの原版を6年間集め続けている。明治初期に取り壊された箱館奉行所を撮影したものや、1902年発行の日本初の官製絵はがき6点セットなど、所蔵は約5000枚にのぼる。鉄道や皇室などジャンルも幅広い。戦前の世界各地の風景や人物など、歴史を知る上でも貴重な資料で、佐々木さんは「多くの人に見てもらい、絵はがきが切り取った“時代”を感じてほしい」と話している。
函館市出身で、祖父の故・定吉さんは市内末広町でロシア人向けに洋酒屋を営み、店内の様子などを撮影して作った絵はがきをPRのため客に配っていた。父の故・鐵三郎さんは公務員で、ロシアのルーブル札や缶詰のラベル、絵はがきなど、何でも集めることが好きだった。佐々木さん自身も幼少時からパッチなどを集め、近所の友達に譲っていたという。
絵はがき収集は、53年間勤めた末広町の真壁家具店を定年退職した2002年から始めた。既に絵はがきの魅力に引かれ、収集していた東京在住の弟巖さん(66)に「兄貴もやれば」と誘われたことがきっかけ。佐々木さんは「最初は何となく始めたが、すぐに取り付かれた」と振り返る。
鐵三郎さんから譲り受けた原版約1000枚に加え、市内の骨董市などに足繁く通って探した。「絵はがきはあまり店頭に置かれないから、店員に尋ねて奥から出してもらう。持っている種類を把握し切れず、同じ作品を買うことも」と笑う。
絵はがきの中には明治後期に発行された函館公園や青函連絡桟橋、函館競馬場など函館にゆかりのあるものもずらり。写真とイラストを組み合わせたものも多く、どれも色彩豊かだ。佐々木さんは「戦前は娯楽が少なく、絵はがきが発売されると郵便局には行列ができた。デザインも多種多様で素晴らしい」と話す。
収集と同時に、パソコンを使ってジャンル別にリストも作成。300枚のデータごとの冊子を作り、市中央図書館で調べた場所や解説文も書き加えた。仕上げた冊子は15冊を数える。佐々木さんは「絵はがきを見ればその時代の空気がよく分かり、楽しい」と語る。冊子はイベント会場などに置き自由に見てもらい、希望者には有料で複製して譲る計画もあるという。
提供 - 函館新聞社
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