函館市の利殖にも“リーマンショック”
函館市が、日々の収入と支出の差(歳計現金)で実施している国債の売買契約(現先取引)と銀行預金による運用が、好調な中にも陰りが見え始めている。市会計部によると、12月末で本年度の目標額1300万円を上回る1447万円の運用実績がある。しかし、9月の米証券会社リーマン・ブラザーズの経営破たん以降、日銀が世界金融不安の中で政策金利を2回引き下げたため、債券の利率が大きく低下している。
同部によると、歳計現金の運用はかつて1カ月単位の大口定期預金だった。現先取引は2、3日間でも運用でき、市は昨年9月から、急な資金需要に対応できる額を普通預金に残し、残った歳計現金で国や政府系の国債や証券の売買契約をしている。 地方交付税や交付金、補助金、市税、国保料、手数料などは収入があって支出されるまでわずかながら日数がある。これに目を付けたのが証券会社の現先取引。市は市内の2社と契約し、本年度は既に81件の取引をしている。
地方交付税が入った6月には、35億円を利率0・50%で12日間運用し57万4864円、42億円を利率0・54%で25日間運用し155万2374円の利益を上げた。「現先取引の利率は日銀の政策金利と同じか、若干高め」と同部は説明する。
しかし、世界金融不安から日銀は10月、政策金利を0・5%から0・3%に引き下げ、12月には0・1%にした。連動するように、11月には10億円を22日間運用したが利率は0・30%で、運用益は18万631円しか出なかった。12月は13億円を5日間運用中だが、利率は0・17%で、見込まれる運用益は3万264円という。
昨年度から本年度途中までは政策金利が0・5%。現在は0・1%なので、金利は5分の1。昨年度の運用益は銀行預金も入れて1558万円で、本年度はそれを上回る見通しだが、仮に0・5%で1500万円の運用益だと、0・1%では300万円程度しか出ない計算。金利の低下は市の借金の金利が下がる要素もあるが、コツコツと励む利殖の面ではマイナス。
同部の菅原尋美部長は「金融の動きが役所にどう影響を与えるか、行政マンも理解する必要がある。今後は運用益が薄くなりそうだが、世の中の動きを知るためにも、こういう運用はしていくべきだと思う」と話している。
提供 - 函館新聞社
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