来年度の就活 全力サポート…景気低迷で学校側、強い危機感
企業の内定取り消しや非正規労働者の削減など急速に雇用情勢が厳しさを増す中、来年度に本格的な就職活動を控える大学3年生や高校2年生から影響を心配する声が出始めている。函館市内では就職戦線の悪化を見据え、資料配付や進路別学習の強化などの対策に乗り出す大学、高校も出てきた。各校とも危機感をばねに、学生の意識を引き締め、就職活動支援につなげたいとしている。
文部科学省などの発表によると、来春卒業予定の就職を希望する高校生の就職内定率(10月末時点)は、本道が38・8%と沖縄県に次いで低い。来春大卒予定者も本道・東北地区は60・3%と最下位(10月1日時点)。雇用状況の厳しさから学生らに不安が広がっている。
システムエンジニアを希望する道教大函館校3年の男子学生(23)は「内定が取れるか不安いっぱい。『楽だった』という先輩が正直うらやましい」と漏らす。公務員志望の函館商業高2年の男子生徒(17)も「厳しいと思うので、もっと勉強したい」とする。
「第3次就職氷河期到来の予感」と銘打ち、道教大函館校(杉浦清志副学長)の就職支援センターは12月上旬、年4回作成している「はこだて就活短信」の緊急対策号を発行、就職への意識向上などを呼び掛けた。同校にとって来年度は教員養成課程がなくなり、人間地域科学課程の学生が最終年度を迎える大事な年。学年、就職希望別の8つの進路開発講座を用意し、11月には初の業界研究会を開いた。
同センターのキャリアオーガナイザーの岩船寛さんは「学生はすでに『真剣モード』。大学も必死の取り組みを進めている」と説明。「景況回復には数年掛かると見られ、学生には常識力や大人の立ち居振る舞いなど『総合的人間力』が求められる」とする。
函館大は札幌圏の企業面接セミナーに参加する3年生向けの貸し切りバスツアーや就職ガイダンスを継続。干場勝キャリア開発課長(49)は「状況に合わせてきめ細かい指導を心掛けたい」とし、北大水産学部の担当者も「就職ガイダンスや企業セミナーを充実させたい」と話す。
高校も生徒の就職活動に力を入れ、函館西高は2年生の進路別学習を強化し、年明けには職業観の育成を目的とした講習を初めて行う方針。3年生の就職希望者の7割が現時点で内定を受けている函館商業高も、進路指導室担当教諭は「現2年生の求人があるかは不透明」と危機感を募らせる。「できるだけ早く手を打ち、保護者も一緒に考える機会を増やすことが大事だ」と説明。来年3月には外部講師を招いた2年生向け就職ガイダンスを初めて企画する。
提供 - 函館新聞社
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