フジ棚の保存決まる
国の特別史跡五稜郭跡で函館市が進めている「箱館奉行所復元整備」で、表門があったと推測された場所にその痕跡が確認されなかったことが16日、分かった。この場所には市民の憩いの場となっているフジ棚があり、市議会総務常任委員会(井田範行委員長)は同日、市民から提出された「復元整備でフジ棚を守ってほしい」「正確に復元してほしい」という相反する陳情2件を採択した。
市教委が9、10月に実施した発掘調査の結果を同委員会に報告。須田正晴生涯学習部長は「表門の痕跡が見られなかったことから、フジ棚の地への表門整備はせず、今後は文化庁と協議しながら対応していきたい」と述べた。
フジ棚は五稜郭公園の「二の橋」を渡った先にあり、幅5・2メートル、長さ28・8メートル。市教委文化財課によると、2000年に実施した裏門調査などから、門番所跡に近接する溝状遺構を表門の場所と推測し、調査した。その結果、溝状遺構は大正時代以降の公園整備で作られた工作物の可能性が高く、表門の柱などを建てた跡はなかった。
五稜郭は1864年に完成し、箱館奉行所は箱館戦争後の71年に解体された。市は2006年度から10年度までの計画で同奉行所の復元整備を進めている。フジ棚は昭和の初めに市民が整備したとされる。
奉行所の整備にあたり、市民団体「五稜郭の藤棚を守る会」が市議会にフジ棚の存続を求め、陳情書を提出。1万1349筆の署名を集めたほか、オリジナルの歌を作りCD化などをしている。山崎淳子代表(63)は「フジ棚は五稜郭の顔で、市民や観光客が喜び、うれしいこと。理由はどうであれ、市や議会に良識ある対応をしていただき、ありがたい」と語る。
忠実な復元を求めた市内の男性(36)も「フジ棚保存に反対するのが趣旨ではなく、今後とも文化庁の方針に従って粛々と復元整備を進めてほしい」と話している。
提供 - 函館新聞社
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