戦争 犠牲はいつも若者…ドキュメンタリー「アメリカばんざい」来年3月上映

 市民有志が来年3月22日に函館市内で上映を予定しているドキュメンタリー映画「アメリカばんざい crazy as usual」(2008年制作)の藤本幸久監督(54)=十勝管内新得町在住=が14、15の両日、試写会出席と作品のPRのため来函した。インタビュアーとして制作にかかわった札幌市在住のフリージャーナリスト影山あさ子さん(45)とともに、作品への思いなどを聞いた。

 ―映画制作の動機は。

 藤本監督 05年の前作「Marines Go Home」で米軍基地の抗議活動を続ける住民を撮ったが、基地の中まで描けなかった。今度は、兵士になるアメリカの若者を見たいと思ったのが直接の動機だ。助監督時代の1980年代後半、戦時中のアフガニスタンを撮影する中で多くの一般市民が死ぬ様子を見た。戦争は若者が犠牲になる。日本を戦争ができる国にしようという動きもある今、まずはアメリカの戦争の現実を知ることが必要では、と考えた。

 ―作品に込めたメッセージは。

 藤本監督 戦争は生半可なものでなく、しかも若者個々の人生に大きな負の重荷を背負わせる。日本では「国際貢献」や「普通の国」などあいまいな言葉で憲法改正が提案されるかもしれないが、映画を通して戦争の現実を知り、日本の子どもたちに米兵と同じようなむごい経験をさせたいか、国の未来をちゃんと考えてほしい。

 ―取材で感じたことは。

 影山さん 帰還兵ホームレスの多さや、莫大な軍事予算の一方で、貧困層の若者が兵士に志願する仕組みなどを知り、これほどひどいと思わなかった。特に海兵隊の「ブートキャンプ(新兵訓練所)」では、前日電話で泣いていた青年が丸刈りにされ制服を着ると、翌日には誰だか見分けがつかなくなる。個性が奪われ、記号化するのだ。中には日本人の祖母や母を持つ若者もいて、非常に胸が痛んだし、大変なことだと感じた。

 ―最後に一言。

 藤本監督 若者の多くは「大学に行きたい」「医療保険が欲しい」「良い人生を送りたい」などの理由から、戦場で人を殺す兵士を志望する。今回の取材を基に「兵士になるのはどういうことか、軍隊はどんな存在か」をテーマにした続編を準備中で、来夏の公開を目指したい。

update 2008/12/16 10:18
提供 - 函館新聞社


前のページにもどる  ニュースをもっと読む


ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです