市内、近郊でガソリン値下げ競争激化

 原油価格の下落で、レギュラーガソリンの値下げ競争が激化している。函館市内と近郊では12月初旬から、セルフ式を中心に1リットル当たり110円を切るガソリンスタンド(GS)が目立ち始めた。連日のように値が下がり、ドライバーにとっては朗報だが、出口の見えない価格競争に一部の小売業者からは「限界」との声も聞こえる。

 「他社が下げるなら下げざるを得ないが、もう限界を超えている。後は体力勝負で価格が落ち着くまで我慢するしかない」。市内のあるGS業者は苦しい胸の内を明かす。近隣にあるGSの価格に対抗し、赤字覚悟で値下げをする業者も少なくない。

 一方、市内の消費者は歓迎ムード。無職女性(36)は「以前は1000円ずつ給油していたが、今は満タンにできる」と喜ぶ。主婦(30)は「まだ下がるかもしれないのであえて満タンにはしない。90円台になるのを待つ」と期待を込める。

 毎月1日に函館・北斗市内の25店舗を対象に石油製品価格調査を実施する函館消費者協会(米田イツ会長)によると、ピークの8月にはセルフ式でレギュラーガソリン1リットル当たりの平均価格は185・40円まで上昇。10月から急落し、12月1日の調査では114円まで下落したが、その後もさらに値を下げ、毎日のように価格が変動している。110円を切るのは5年ぶりという。

 背景には原油価格の急落があるが、函館地方石油業協同組合の和田善助理事長は「市民に節約志向が根付いて値下げをしても需要が回復しない。需要減少の要因は他にも考えられるが、分からないだけに価格を下げて客を呼び込もうする現象が起こっているのでは」と分析。「どこまで値下げが続くか底値は見えない」と話す。 さらに石油元売り各社が10、11月に相次いで週ごとに卸価格を決める新しい仕切り価格体系を導入したことも一因だ。一部のGSでは週初めに新たな価格で販売できるように、値下げをしてでも週末に在庫を出し切ろうとする動きも見られる。別のあるGS業者は「元売りよりも小売りの方が値下げを先行しているから決して楽ではない。しかも価格を下げたからといって客足が増えたという実感がまったくない」と嘆く。

 同組合によると、渡島、桧山管内で組合に加盟するGSはピーク時の1987年に241カ所あったが、11月現在は162カ所まで減少。経営難や経営合理化などで統廃合され、今後も石油元売り会社の経営統合でさらに再編は進むとみられる。和田理事長は「“GSの過疎化”が進行し、宅配できる業者がなくなると、隣町へ行かないとガソリンや灯油が買えない地域も出てくるのでは」と高齢者が多い過疎地の供給不安も懸念している。

update 2008/12/12 11:08
提供 - 函館新聞社


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