驚きと戸惑い 複雑な思い…「裁判員」候補者2人に聞く

 来年5月21日に始まる「裁判員制度」の候補者名簿への記載を通知する書類が発送されて1週間―。函館地裁管内(渡島、桧山と後志の一部21市町村)でも有権者41万6000人余から選ばれた1500人の対象者に、最高裁判所からの封書が届いている。同地裁には5日までに31件の問い合わせが寄せらた。大半が辞退理由にかかわる質問だったという。実際に書類が届いた市民に話を聞くと、驚きと戸惑いの言葉が返ってきた。

 函館市内の自営業の男性(38)には、11月29日に通知が届いた。新聞やテレビなどで書類の発送は知っていたが、「自分に来るとは思わなかったので、全員に届くものだったかなと思った。変な運を使ってしまったね」と話す。同封されていた調査票を読み、夏場に仕事が忙しくなる時期があるので、7、8月は参加が難しいとマークシートに記入し返送したという。

 最高裁では約7割の公判が3日以内に終了すると想定しているが、家族と少人数で家業を営んでいるため、可能であれば、休みたくはないのが本音だ。男性は「仕事は3日くらいならどうにかなると思う。ただ調査票を見ても、そう簡単には辞退できない、辞退させたくないという感じが伝わった」と話す。

 裁判員となっても、氏名や住所は公開されることはないが不安はぬぐえない。「被告人の前に顔を出さなくてはならないことが不安。函館は狭い街だし、仕事柄、知人も多い。知っている人が法廷にいたら嫌だね」という。

 まだ名簿に記載されたという段階で、実際に呼び出し状が届くのは来年7月以降の見込み。「最初にこうして選ばれたのだから参加したい気持ちもあるけれど、できるなら選ばれたくはない」としながらも、「でも義務だから仕方がない」と思いは複雑だ。

 渡島管内に住む専業主婦の女性(56)は「大きい封筒を見て、どうしてわたしなんだろうと、ただただびっくりです」とし、「裁判員制度は自分とは関係のない遠い場所の話のように思っていた」という。女性は人を裁くことに不安や責任を感じると言い、「来年、大きな事件が起きなければいい。できることなら夫を推薦したい」とこぼした。会社員の夫(56)は「ただ、選挙権があるというだけで選んでもいいのだろうか。辞退できる人の範囲は改善できるのではないか。普通の主婦には裁判は厳しいと思う」と話していた。

update 2008/12/6 14:38
提供 - 函館新聞社


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