函館市合併4年、住民サービスの維持課題
函館市は1日、渡島東部旧4町村と合併して丸4年を迎えた。合併4支所でも行財政改革の一環で人員削減や業務の集約化が進み、来年度からは4支所の組織機構を5課1事務所から3課1事務所に再編する。地域住民からは「合併で行政が遠くなった」との声が依然として聞かれる中、住民サービスや地域の活力、安心をどう維持していくかが課題だ。
合併当時、4支所の職員は282人いたが、今年4月には183人、来年4月には151人となる。業務の集約化は、南茅部支所へ生活保護業務を、椴法華支所に東部保健事務所を置いたほか、来年度からは同支所に水道業務を一本化する。戸井支所の伊藤修支所長は「他支所に集約された業務でも、住民が必ず訪れる。たらい回しにせず、担当部署に取り次いで話をさせるよう指導している」と語る。
2課を統合して生まれる市民福祉課は、業務が戸籍、年金、医療、税務など多岐にわたる。限られた人員で業務に対応するため、柔軟で効率的な組織づくりが必要。恵山支所では職員の担当を細分化し、それぞれが補完し合いながら業務を担う考えだ。
坂本幸春支所長は「季節的な繁忙期や急忙に対応するため水平的なグループを作り、担当が休みで対応できないような事態が起きないようにする。業務や住民の要望を受け止める体制は残るため、住民サービスの低下にはならない」と説明する。
地域づくりはどうか。市全体の高齢化率は約25%だが、椴法華地域は約35%と最も高い。三輪秀悦支所長は「地域振興ももちろん大事だが、安心して生活できる地域づくりをどう進めるかが課題。消防や消防団、自主防災組織、駐在所と連携し、地域の防災・防犯体制強化を図りたい」と考えている。
旧4町村地域は漁業が基幹産業。浜の事情は支所が理解しているが、水産振興施策は本庁の農林水産部が担当している。二重行政との見方もあるが、南茅部支所の梅田誠治支所長は「支所を通して現場の声を上げており、漁業者も本庁に直接行くよりも相談しやすい。旧町時代の施策を引き継ぎながら、漁業用機械購入の貸付金など独自の制度や水産振興策も生まれている」と指摘する。
旧市内と比べ4地域は町会加入率が高く、人口減が進む中で地域の活力を支えるコミュニティーをどう維持していくかが課題。職員減や財政難の中で「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」で事業を選択していく時代だ。市地域振興室は「市全体で我慢することが必要。地域情報格差の是正やコミュニティーの維持、漁業振興を継続して実施していく」と話している。
提供 - 函館新聞社
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