災害時要援護者「個人情報」が課題…函館市

 函館市は、高齢者や障害者など災害時に援護が必要な市民(要援護者)の避難支援計画の策定作業を進めている。係長職でつくるワーキンググループが要援護者の範囲や個人情報の取り扱いなどについて課題を整理している。災害弱者の命を守る計画だが、一方で個人情報をどう確保し運用していくかが課題となっている。

 2004年7月の新潟・福島豪雨災害で、犠牲者のほとんどが高齢者だったことを受け、国が要援護者避難の全体計画と個人計画の策定を求めている。市は総務部、福祉部、市民部、保健所、消防、各支所の関係部局の課長職で検討委員会を発足させ、来年度をめどに全体計画の策定を目指している。市総務部によると、中核市の半数以上が同様の検討委員会を設置済みという。

 全体計画で課題となっているのは▽要援護者の範囲▽個人情報の収集と運用―の大きく2点。要援護者の対象は、年齢層や介護度別、障害者、独居の高齢者など、さまざまな観点から検討している。

 対象範囲を決めた場合、次に出てくるのが個人情報の問題。しかし、福祉部が持つ介護や支援、障害の有無、市民部が担当している住民基本台帳などの情報は、法律により他に転用できない。

 一方で町会や地区の民生委員の中には、独自に収集した情報で「要援護者マップ」などを作っているところもある。こうした団体と連携し、情報を共有していくことが方策の一つとなっている。その場合は、情報を防災関係に役立てることの了解を一人一人から得なければならない。

 西尾正範市長はこのほど開かれた住民組織代表との意見交換会で「法律の問題もあるが、防災や救命などの面で町会などと個人情報を共有することが必要ではないか」と述べた。出席した市町会連合会の敦賀敬之会長も賛意を示した上で「町会で把握している個人情報は何かあった時のための最小限の情報だが、過剰反応する方もおり、どう理解を求めていくかが問題。町会加入率が年々落ち込み、どのような形でカバーしていくかも課題」と語った。

 災害弱者の避難支援計画は市議会でもたびたび必要性が指摘されているが、策定作業がスムーズに進まない側面がある。

update 2008/11/24 13:37
提供 - 函館新聞社


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