【インサイド・木古内高存続問題】町長「断念」 戸惑う住民

 【木古内】道教委の公立高校適正配置計画で2010年度の募集停止の方針が示されている道立木古内高校(木古内町木古内)の存続問題で13日、大森伊佐緒町長が町立移管を断念する意向を示したが、住民からは「一方的な決断で、説明の順序が違うのでは」「判断材料に町民の声は反映されていたのか」と反発の声が出ている。民間で存続活動に取り組む「木古内高校の存続を求める会」の近藤攻会長は「(移管断念を伝える)新聞報道を見て驚いた。関係者を通じて文部科学省にも働き掛けていた矢先だけに…」と驚き、戸惑う。町民には唐突とも映る断念表明の波紋は広がりそうだ。

 釜谷生活改善センターで13日夜に開かれた町政懇談会で、大森町長は「木古内高校の町立化は困難。苦渋の決断だが理解してほしい」と出席者20人に伝えた。出席者には受験生の保護者はいなかった。存続を求める会と町商工会、同窓会員が木古内高校の魅力を伝えて歩く「受験生個別訪問」を20日から予定していただけに、関係者は「どう説明すればいいか困った」「なぜあの場で、いきなり断念を発表したのか」と困惑する。

 ただ、11日に開かれた議員協議会で、大森町長は「断念の意向を懇談会で示す」と町議会側に伝えていた。多くの議員は理解を示したが、慎重な発言を求める声もあったという。

 中学3年生の進路決定が迫り、問題解決が急がれる中、これまで大森町長は町立化の是非について明言を避けてきた。10月9日には、町立化を視野に入れた長期運営試算を公表し、9年間で累積赤字額が約2億4000万円になることが分かった。この時点で「莫大な経費は目に見えている。町立化は無理だ」「受験生本人やその家族の気持ちを思えば、早く答え(町立化断念)を出すべきだ」と議員から意見が出ていたが、大森町長は「あくまで町民の声を聞いて答えを出す」とし、結論を先延ばしにしてきた。

 同懇談会に出席した男性(75)は「学校がなくなるのは寂しいが、仕方ない」とぽつり。懇談会を欠席したある保護者(43)は「小学校の廃校のときと流れは同じ。子どもが少なくなるのは目に見えて分かっている。問題解決は先読みして対策を打たなければだめ。寸前で慌てても遅い」と指摘する。

 野村広章教育長は「町教委としてはこれまで通り存続活動への協力を惜しまない」と話す。町は独自の支援策として、他校への通学費補助など木古内高校閉校時の対応の検討を決めたが、課題は山積している。小林敏明副町長は「道教委に考えを改めてもらうためにも、まずは来春の入学者を増やすことに努力したい」としているが、入学者増の見通しは立っていない。

update 2008/11/15 10:40
提供 - 函館新聞社


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