食品スーパー相次ぎ出店、流通戦争 過熱
函館市内で今週、食品スーパーが相次いで開業する。魚長(西桔梗町、柳沢一弥社長)は11日、上新川町1に「夢食鮮館太(だいぼし)魚長新川店」をオープン。14日にはコープさっぽろ(札幌)が人見町8に「ひとみ店」を開く。長引く不況で消費が冷え込む中、先細りのパイを奪い合う出店攻勢で、新規参入組や既存店を巻き込んだ“流通戦争”が激化している。
魚長の新川店は同社16店舗目(「夢の100円市場」を除く)で、函館地裁に隣接する旧国有地に新設。鉄骨平屋一部2階建ての店舗面積は約990平方メートル。同社が函館・近郊で展開する店の中では中規模だが、小売店のような対面販売を充実させた「夢食鮮館」業態を初めて採用したのが特徴だ。
「(大手との)価格競争では消耗戦になるだけ。だからといって指をくわえて見ているわけにもいかない」と柳沢社長。新川町周辺は中島廉売もあり、大型スーパーの少ない“空白地帯”と呼ばれていたが、近くの亀田川を挟んだ対岸に10月上旬、イオングループの食品スーパー「マックスバリュ堀川店」(堀川町4)が進出したことで勢力図に異変が起きた。
新川店の店名には屋号の「太」を付けた。鮮魚商として起業した魚長の原点回帰への意思の表れだ。近隣に多い一人暮らしの高齢者向けに総菜の小口商品を増やしたほか、素材も店に並ぶ商品を使って店員が調理法までアドバイスする。鮮魚コーナーではその場で骨抜きやカットなどの要望にも応じる。
柳沢社長は「毎日来てもらうには細分化する顧客ニーズに応えていくしかない。付加価値で差別化を図り、庶民の台所のような店を目指したい」と話し、年商8億円を目指す強気の構えだ。魚長は現在、豊川町7の電車通沿いに「夢食鮮館」業態の2号店となる「豊川店」も建設中で、12月のオープンに向けた準備を進めている。
一方、コープさっぽろの「ひとみ店」は2日に閉店した「人見店」(人見町25)を移転する形で開業。北海道ジェイ・アール都市開発(札幌)がJR社宅跡地約7900平方メートルに鉄骨平屋の商業施設を建設し、ひとみ店と眼鏡販売店がテナントとして入る。店舗面積は人見店の2・5倍の約2100平方メートル。
コープさっぽろは近年、手狭で老朽化した店舗のスクラップ・アンド・ビルドを進めていて「売り場拡大に伴い品ぞろえが豊富になることで、顧客サービスの向上につながれば」(開発本部)と期待を寄せる一方、「函館は人口の減少や郊外への流出で中心市街地の購買力は低下傾向にある。何とか現在のシェアを維持したい」とし、年間20億円の売り上げ目標を掲げている。
提供 - 函館新聞社
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