開発局再編、懸念の声…道南の関係者

 麻生首相が農水省地方農政局と国土交通省地方整備局を原則として廃止する方針を打ち出し、農政局と地整局の機能を持つ北海道開発局の再編も避けられない見通しとなった。開発局の統廃合は過去何度となく浮上しており、道南の関係者の受け止めは比較的冷静だが、道路整備や財源、景気の行方を不安視する声も強い。

 国道278号尾札部道路建設促進地域協議会の加藤詔三会長(64)は「全国的に無駄な道路整備は必要ないという考えがあるが、北海道には必要な道路整備がたくさんある。南茅部の国道278号は幅員が狭く歩道もない。道路整備が終わった東京の尺度で見ないで、地域の実情に合った事業が必要。着実に国道整備を進めるため、開発局は存続してほしい」と願う。

  函館建設業協会の幹部は「麻生首相が今回打ち出した方針には、開発局の名前は挙がっていないので、すぐに廃止になるとは考えていない」とみる。開発局の役割について見直しは必要と冷静に受け止めるが、「一方で景気浮揚対策を打ち出しながら、北海道の景気悪化に直結する開発局廃止につながる方針をこの時期に持ち出すのはマイナス効果にしかならない」と語気を強めた。

 高橋はるみ知事は、道が道州制特区の唯一の適用団体であることから、地方分権は積極的に進めなければならないとした。しかし、財政難の中で行政組織のスリム化を進めている現状から「財源を伴う権限移譲でなければ受け入れられない」とけん制した。

 道南選出のある道議も「二重行政解消の観点から開発局は縮小し、道が受け皿となることが想定されるが、現段階では準備が整っていない。予算や権限のほか、国の補助率をかさ上げしている北海道特例をどうするかなど、議論が必要だ」と指摘する。

 函館市はこれまで、予算の一括計上権のほか、道路、漁港、農業基盤などの整備がまだまだ必要との観点から開発局の存続を求めてきた。市幹部は「ソ連脅威論があった時代の北海道開発は、防衛という意義があった。現在では食糧基地や産業振興に向けた道路整備などの意義や役割がある。食糧基地であれば、国家的な観点から基盤整備をしなければならず、そうした点からも議論が必要」と語る。

update 2008/11/8 11:54
提供 - 函館新聞社


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