幻の「月島イカ釣り奴行列」、半世紀ぶり復活
【松前】松前町月島地区で約50年前に数年間だけ行われた「月島イカ釣り奴(やっこ)行列」を現代に復活させ、まちおこしに生かそうという計画が地元漁師らによって進められている。大漁・安全祈願と地域発展を願い、漁具の大きな模型を担いで町内を練り歩く奴行列。イカ漁の最盛期の活気をよみがえらせようという試みで、関係者は「古くからまちを支えてきた漁業の歴史と繁栄を子どもたちにも伝え、後世に残したい」と、来年夏ごろのお披露目に向け、準備に取り組んでいる。
町内の漁業従事者25人でつくる「松前船主会」(柴田悦夫会長)と町職員らが企画。メンバーが幼いころに見た行列の様子の記憶をたどり、復活させる。
このユニークな奴行列は松前藩政時代から続く松前家登城奴(月島奴振り)をモチーフにしたもので、1955年ごろには漁が落ち着く9月の十五夜に合わせて行われていた。
黒の法被に屋号が記された前垂れ姿の奴たちを2匹のイカ人形が先導。挟箱(はさんばこ)は弁当箱、なぎなたはマキリ(包丁)、弓は糸巻き(とんぼ)など、イカ釣り道具を担いだ8人の奴(漁師)たちが、掛け声に合わせてゆっくり町内を練り歩く。
民家一軒ずつに立ち寄って酒をもらい、千鳥足で歩くことから別名「だだくさ奴」と呼ばれていたという。こっけいな振る舞いで住民の笑いを誘い、月島地区の秋の風物詩として人気だったが、動力船の普及で各地へ出漁する機会が増え、行列の担い手が減ったため自然消滅した。
今年は燃油高の影響で出漁を抑えるなど厳しい状況が続いたが、「何とか古里を盛り上げたい」と漁師たちが相談し、“現代版イカ釣り奴行列”の実現を目指すことになった。
9月上旬には専門業者に依頼し、行列のイメージ画を制作。10月25、26の両日に開催された町民文化祭の芸能作品コーナーの一角に「イカ釣り奴行列を復活させよう!」と特別展を設けPRした。「面白い発想」「まちを練り歩く姿を見てみたい」と来場者から好評だったという。
漁具の模型は仕事仲間の船大工が手掛けた。中には3メートルほどある大きな作品もあり、「イカ釣り奴行列」「大漁」と特製シールを張った。柴田会長(64)は「子どものころの思い出をよみがえらせながら、楽しんで準備に取り組んでいる」と話している。
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。