函館市水道局07年度温泉事業会計、資金不足比率41.5%
函館市水道局(中林重雄局長)の2007年度温泉事業会計の決算に基づく資金不足比率が41.5%と、国の定める経営健全化基準の20%を大きく超え、厳しい経営を強いられている。温泉供給、公衆浴場、熱帯植物園の3事業の単年度収支は1億665万円の赤字で、18年度には累積赤字が15億1982万円に膨らむと試算。特に温泉供給事業は、全国有数の温泉地を有する湯川地区で温泉水位の低下に歯止めが掛からず、安定的な温泉供給を確保するためには新たな設備投資が必要となっており、厳しい財政状況をさらに圧迫する危機にひんしている。
湯川地区での温泉資源の枯渇化は昭和40年代から問題視され、1976(昭和51)年に道が「温泉を保護すべき地域」に指定。水道局が03―06年度に道立地質研究所(札幌)に委託して行った調査によると、同地区の水位低下を防ぐためには、温泉をくみ上げる(揚湯)量を現状の7割程度まで縮減しなければならないとの指摘を受けている。
水道局は現在、湯川地区で22本の源泉を保有。今年3月時点でホテル・旅館や一般家庭などの126件に一日当たり4745立方メートルを供給している。同局と民間を合わせた揚湯量は約6000立方メートルとされ、同研究所の報告書では適正な揚湯量を約3200―5300立方メートルと推定し、縮減が図られない場合、9月末時点で地下13メートルだった水位がさらに低下していくと見ている。
温泉供給事業の07年度収支は132万円と黒字を確保したものの、14年度の目標揚湯量を3200立方bに設定するため、年間5%程度の温泉供給量を減らすとし、08年度以降は赤字に転落すると試算。湯の川温泉街を基幹産業である観光の重要な拠点と位置づけており、温泉の揚湯法をこれまでのパイプを用いた空気圧縮の「エアリフト方式」から、「ポンプ揚湯方式」に移行するため、10―12年度には整備費として計2億2500万円を見込む。
今後は、温泉資源保全の観点から、湯川地区の使用者には供給量に合った営業方法にする意識改革が求められそう。水道局は「関係機関と協議しながら、今後の具体的な取り組みや課題について検討していきたい」と話している。
市の温泉事業については7日に開かれる市議会経済建設常任委員会(小山直子委員長)で報告される。
提供 - 函館新聞社
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