「ナッチャン」運航終了 わずか1年で歴史に幕
函館と青森間を結ぶ東日本フェリー(函館市港町3、古閑信二社長)の高速船「ナッチャンRera(レラ)」と「ナッチャンWorld(ワールド)」の2隻が31日夜、函館、青森両ターミナルを交互に出・帰港し、最後の運航を終えた。津軽海峡を約2時間で結んできた“ナッチャン姉妹”は就航からわずか1年余りの短い歴史に幕を下ろした。
午後7時半ごろ、函館ターミナルでは最終便となる「レラ」が出航。東日本フェリーの職員のほか、非番や乗務を終えた高速船のキャビンアテンダント(CA)、見納めに来た地元市民らが大勢詰め掛けた。岸壁では船体をバックに記念撮影したり、手を振ったりとそれぞれ別れを惜しみながら、最後の船出を見送った。
2隻は双胴型の旅客フェリーとしては世界最大級、最高速をうたい文句に登場。昨年9月に「レラ」、今年5月に「ワールド」が相次ぎ就航したが、燃料高や利用客の伸び悩みで経営が行き詰まり、今年9月に撤退の決断を余儀なくされた。青函航路はグループ会社の道南自動車フェリーが高速でない在来船で引き継ぐ。
この日、夫婦で来函した青森市内の自営業梶野幸雄さん(58)は「函館まで列車だけでは味気ない。旅情も味わえる高速船は静かで気に入っていたのに」と残念がる。息子の絵が「ワールド」の船体に描かれていた函館市内の女性(36)は「就航した時から事あるごとによく見に来た。船内も快適だったのでもう1度乗りたかった」と親子で岸壁にたたずんだ。
鹿児島県に競走馬を輸送中の男性トラック運転手(53)は「デリケートな馬にとって2時間の早さは魅力。今後は遅くて揺れる在来船で運ぶと思うと気が重い」と漏らす。今年4月の入社で千葉県から移り住んだCAの本多愛さん(25)は「船の仕事にあこがれてこの世界に入った。特別な思いが詰まったナッチャンにもっと乗っていたかった」と目を赤らめていた。
提供 - 函館新聞社
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