福島の鳴海さん 30年以上前に購入した自転車「ヤングホリデー号」現役
【福島】福島町塩釜36の元漁師、鳴海利男さん(70)は30年ほど前に地元で購入した自転車を今も大事に扱い、買い物や散歩で乗り回している。青函トンネル工事に携った際、移動手段としても使用した愛着のある自転車だ。「さびない、壊れない最高の自転車。格好良いギアも付いて乗り心地も抜群で最高だ」と長年連れ添う“愛車”を優しい表情で見つめる。間もなく雪が降り、自転車シーズンは終わるが、「今年も良く走ってくれた」と感謝しながら、来春に備えてサドル磨き、タイヤの空気調整などの手入れに励むつもりだ。
鳴海さんの自転車は1970年代、小中学生、高校生に爆発的人気を誇ったスポーツタイプの「丸石ヤングホリデー号」。サドル手前のギアチェンジと左右のライト、後部にはウィンカーが付属された斬新な設計で、国内自転車の名作の一つとされている。
鳴海さんは70年代後半に購入。漁業の傍ら、町内で行われていた青函トンネル工事に従事した際、自宅から約10キロ離れた町三岳地区の現場までの移動手段として、佐藤自転車商会(町吉岡50、佐藤千里店長)で約7万円で購入したという。「雨の日も風の日も、この自転車で工事現場に向かった。だから愛着があるし、大事にしたいと思う」と話す。
佐藤店長(65)は「昔はどこを見てもこの自転車ばかりだった。当時としては値は張ったが、子どもたちの憧れは強く、中学校の入学祝いとして買う家庭も多かった」と振り返る。
鳴海さんの自宅は目の前が海だが、愛車のカゴやサドルには、さびもほとんどない。佐藤店長は「一般的な自転車の寿命は長くとも3、4年。ましてや潮風を浴びればその分傷みは早くなる」とし、30年以上現役の自転車が輝き続けている理由について「高級なステンレスに加え、鳴海さんのこまめな手入れが長持ちの秘けつでは」とする。
鳴海さんは「安い買い物じゃなかった。それは辛抱してお金を貯めて買った。今もあの当時の姿そのまま。そう思えば安くていい買い物だったのかもしれない」と笑顔を見せた。
提供 - 函館新聞社
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