日本海グリーンベルト構想 上ノ国でドングリの種まき
【上ノ国】伐採で失われた日本海沿岸の森林を取り戻そうと、上ノ国町の漁業者を中心とする「日本海グリーンベルト構想推進協議会」(花田英一会長)によるドングリ(カシワの種子)の植え付け作業が25日、町内の木ノ子地区で行われた。町内での本格的なドングリの種まきは3年目。同構想は2006年をスタートラインに20年間計画でドングリを海岸に植え続け、およそ50年後には豊かな海と森林を復活させようというユニークな取り組み。地球温暖化など環境問題に注目が集まる中、地域住民を主体にした活動は注目を集め、桧山管内全域にすそ野を広げ始めている。
大安在川河口付近で行われた作業には、構想を発案した工藤昇町長、町立滝沢小学校の児童、漁業者や林業関係者、構想を応援する住民ら約120人が参加した。開会式で協議会の花田会長は「1個でも多くのドングリが芽吹き、子孫の世代には荒れた大地に花が咲き、豊かな森林が作られることを期待します」とあいさつした。
参加者はクワで地面を掘り起こし、鳥やネズミなどの食害や乾燥から守るため、紙コップに納めたドングリを植えた。また、町内出身者でつくる「東京上ノ国ふるさと会」から寄贈されたカシワの苗木100本も植樹した。作業に参加した高齢者のグループは「長い道のりもこの一歩から。小さな積み重ねが大切」と語り、作業に汗を流した。工藤町長は「ことしも大勢の住民が参加してくれたことは心強い。協議会の活動が長く継続されることを期待したい」と話していた。
同構想は上ノ国町で2006年度にスタート。これまでに町内の汐吹・小砂子地区でドングリの種まきを行った。予算をかけずに活動を長期間継続するため、ドングリや種子を風雪などから守る特別の手立ては講じていない。このため、現地での発芽率は高くはないが、カシワの新芽は着実に数を増やし続けている。
こうした取り組みは、磯焼けや漁業資源の減少が続く日本海沿岸の漁業者から期待を集め、本年度からは「桧山地域日本海グリーンベルト構想推進会議」(会長・市山亮悦ひやま漁協組合長)が活動を開始。桧山支庁、江差、上ノ国、厚沢部、乙部、奥尻、せたな、八雲町(旧熊石町)の日本海沿岸6町に加え、内陸の厚沢部・今金両町も参加。さらに新函館農協、ひやま漁協、管内5つの森林組合、桧山建設協会など21の機関・団体が参加している。
推進会議では来年度以降、桧山管内以外の日本海沿岸自治体にも呼び掛け、活動のすそ野を広げる方針。
提供 - 函館新聞社
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