支庁再編、町村会 対話再開に意欲
【江差】自民党が支庁再編の前提となる公職選挙法改正案の臨時国会提出を見送ったことで、高橋はるみ知事が固執する来年4月の新体制移行は事実上困難となった。迷走を続ける支庁再編問題の収拾に向け道町村会長の寺島光一郎乙部町長は「対話再開に向けて町村会は胸襟を開いている」と述べ、再編計画の見直しを含めて高橋知事の譲歩を促し、窮地に立つ道や知事サイドの出方を注視している。
「政府与党も市町村との対立したまま支庁再編を強行することを異常事態と認識した」と語る寺島会長。2005年の就任時に“闘う町村会”を掲げた。市町村の反対を黙殺して進められる支庁再編を容認することは「道と市町村の対等関係を否定する」と言い切る。
再編条例が可決されて以降、町村会サイドは、参院で多数を占める民主党に公選法改正阻止を訴える“最後のカード”を切った。政府与党とは蜜月関係にあった町村会にとって「与党側の反撃を招く危険もある。まさに非常手段」(ある町長)。町村会のあり方にも一石を投じた。
7月には濱谷一治江差町長らが、札幌入りした小沢一郎民主党代表と会談。その後も寺島会長や濱谷町長らが、水面下で与野党との折衝を続けた。知事サイドも桧山管内の有力者切り崩しといった攻勢を続け、一部の民主党道議を抱き込んで法改正への働き掛けを強化。水面下での両者の攻防は激烈を極めた。
自民党が公選法改正案の臨時国会提出を見送り、支庁再編は混迷状態に陥った。ある道幹部は「なりふり構わない抵抗に出るまで町村会を追い詰めた知事の責任も大きい」と語る。濱谷町長は「法改正の見送りは選挙情勢からの判断。支庁再編の不当性が議論された結果ではない。何が問題なのか検証する機会とすべき」と語る。
寺島会長は個人的見解と断った上で、再編計画の修正を前提に、高橋知事との対話再開にも意欲を示す。「道と市町村が対立を続けることは不幸だ。地域振興の沈滞を招いている」。道の計画では14支庁を9総合振興局(支庁)と5振興局(支庁出張所)に再編する。「支庁と支庁出張所の格差が問題だ。14支庁の枠組みを残し、地域特性に合わせたメリハリのある支庁を目指すべき。組織は画一的である必要はない」と語り、知事サイドの出方にもよるが、道の計画をある程度は尊重した上で、事態収拾に向けた妥協点を探りたい考えだ。
提供 - 函館新聞社
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