公選法改正、自民党が先送り決定…4月の支庁再編暗礁
【江差】支庁制度改革の前提となる公職選挙法改正をめぐり、自民党政務調査会(保利耕輔会長)は21日、開会中の臨時国会への法案提出を見送ることを決定した。年明けの通常国会を含めて提出時期は未定とし、公選法問題は政調会長預かりとする形で決着。このため、道が予定する来年4月の支庁再編は暗礁(しょう)に乗り上げた。今後、再編計画の見直しはもちろん、再編に反対する市町村長との関係改善に向けた対応も迫られる。地方の反対がある中、改革を強行した高橋はるみ知事の政治責任も問われそうだ。
道町村会などによると、党政調会は、党道連の今津寛会長に「市町村長とよく話し合うべきだ。道町村会などの理解を得た上で改革を進める必要がある」と指示。衆院選を控えて、有力な支持基盤である道町村会など地方4団体との関係改善が急務との考えを示した。党内では、野党が過半数を占める参院で法案が否決される見通しにあること、市町村長の対立が衆院選で地方票を流出させる可能性を懸念。党本部が裁定に入る形で市町村長との対話を促し、事態を収拾する異例の展開となった。
濱谷一治江差町長は「国会で良識のある判断が下された。高橋知事が強引に改革を進めようとした結果だ。道政史上に大きな禍根を残したことは間違いない。支庁再編が延期せざるを得ない状況は素直に喜べない」と述べた。
道は公選法改正を経て、来年2月の定例道議会で道議の定数条例を改正する予定で、来年1月下旬までに法改正を行うよう政府・与党に求めていた。臨時国会で成立を逃せば、次のタイミングは年明けの通常国会だが、政局の流動化も予想され「1月中の改正は困難」(自民党関係者)。道は法改正が困難になった場合、道州制特区制度で、道議選挙区の決定権限を移譲するよう求めることも検討しているが、総務省は「特区はなじまない」と拒否している。
また、法案提出の先送りで攻勢に転じた市町村長との関係改善という、自民党が設けたハードルも待ち構えている。「再編案の白紙撤回や全面凍結といった譲歩が無ければ交渉には乗れない」(ある町長)との強硬論も浮上。高橋知事はロシア訪問中で、24日の帰国後の対応が注目される。
道町村会長の寺島光一郎乙部町長は「法改正の先送りは、知事が本支庁の制度設計や地方との対話をやり直す好機だ。対話に応じる用意はある。知事と町村が対決を続けているのは異常事態。道民にとっても不幸なことだ」と述べ、高橋知事に事態収拾に向けた歩み寄りを促す考えだ。
提供 - 函館新聞社
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