「豊かな町へ まい進」…草の根運動結実
【森】町の「出直し」がかかった森町長選は、最後に名乗りを上げた無名の新人、佐藤克男さんが制した。佐藤さんの選挙事務所は19日夜、歓喜の渦に包まれ、支持者が万歳を繰り返した。支持者にもみくちゃにされながら、森町の新生を高らかに誓った佐藤さん。善戦も及ばなかった松田兼宗さん、阿部真次さんも支持者が健闘をたたえた。
約100人の支持者が集まった佐藤さんの選挙事務所。午後7時55分の開票速報で初めて松田さんを引き離しトップに立ったことが伝えられると、大きな歓声が沸きあがった。直後に当確の報が流れると、支援者同士が抱き合って涙を流す姿も見られた。
同8時10分ごろ、握手攻めでもみくちゃにされながら事務所に到着した佐藤さんは、「みなさんのおかげで当選することができました」と深々と頭を下げた。万歳三唱の後、支持者から花束を受け取ると「感謝の気持ちです」と幸子夫人(58)に渡す場面も。
佐藤さんは「これは佐藤克男の勝利ではなく、新しく生まれ変わりたいと願う森町の勝利。今後は森町が豊かになるように、みなさんのためにまい進していく。他にも言いたいことはたくさんあったが、感無量でこれ以上言葉にならない」と目を潤ませた。
向中野貴夫後援会長(56)は「当初はまったく無名だったが、8日の公開討論会で一気に風をつかんだ。地道な草の根運動が実を結んだ」と喜びをかみしめていた。
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三度目の正直ならず―。午後8時17分、松田さんの事務所に「次点濃厚」の一報が入ると、後援会長の伊藤秀信さんが「残念」と声を張り上げた。間もなく自宅から松田さんが到着し、支持者から「良く頑張った」とねぎらいの言葉が掛かった。
伊藤さんらとあいさつした松田さんは開口一番「負けました」と口を真一文字に結び、悔しさをにじませた。「わたし自身のこれからはまだ分かりませんが、新町長が決まったわけですから、佐藤さんと新しい森町をどうつくっていくか、これから皆さまとともに協力していきたい」と語気を強めた。涙を浮かべ握手して回sると、「若いから大丈夫」「もう一回」と声が上がった。
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「みな、私の不徳の致すところ」―。票が横一線に並び、勝利をも予感させる空気があふれる中、票差が開いた午後7時50分、阿部さんの選挙事務所は一転して重苦しい空気に包まれた。「え」「なぜ」…。大きな票差に、ため息だけがもれた。
午後8時過ぎ、阿部さんが事務所入り。口を真一文字に結び、一言一言かみしめながら「新しい町長の下、森町を発展させてほしい。本当に、本当にありがとうございました」と深々と頭を下げた。
支持者からの「逆風の中、これだけ票が集まったのは阿部さんの人徳のおかげ」というねぎらいに、阿部さんは握手で応えた。
提供 - 函館新聞社
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