「神」に捧げる松前神楽、25日に特別舞台

 【福島】福島町の有志が伝承に励む松前神楽の特別舞台「神有月―お客様は神様―」が、25日午後6時から福島町福島の福島大神宮境内・相撲土俵上で開かれる。「お客様は神様」との設定通り、一般観客は現場近くに寄れず、地域発展や家内安全、世界平和を祈り、「神」に向けて舞う。人工的な明かりは一切なく、4基のかがり火が楽人の姿を暗やみに浮き上がらせる。文字通り「神を楽しませる」というユニークな企画だ。


 神楽の原点に迫り、「神楽の町」として地域を盛り上げていこうと初めて企画した。「自然との調和」「現代音楽と郷土芸能の融合」を掲げ、松前神楽とミュージシャンが毎年夏に共演する「かがり火コンサート」の実行委が手掛ける。

 松前神楽は300余年続く伝統神事で、福島では祝い事や節目に花を添える演出として、古くから住民に親しまれてきた。

 1960年には松前神楽と町民の関わりを伝える記録映画が発表され、第1回東京国際アマチュア映画コンクールで準グランプリを獲得している。映画では経済的に貧しい漁村ながらも、笑顔の絶えない町民の姿を鮮明に伝えた。娯楽が少ない当時、松前神楽は世代を超えて楽しめる唯一の華やかなステージであり、「太鼓や笛のお囃子が聞こえると、子供たちは目を輝かせ走って集まって来る」とのナレーションが流れる。

 「生活が厳しくとも、文化を大切にし、心の豊かさを忘れない」「前向きな姿勢で地域で協力しあう」―。このビデオを観賞した実行委メンバーが「時代が変わっても、笑顔を忘れずたくましく暮らした先人の生き方に学ぶべきところは多い」と、今回の特別舞台の構想を練った。

 10月は神無月と呼ばれ、日本中の神々が島根県の出雲大社に集まるとされる。実行委は「神様がこの時間だけは福島に駆け付ける」という趣旨でテーマを「神有月」とした。福島松前神楽保存会のリーダー的存在の乳井英一さん(25)は「意義ある舞台。緊張するが全力で頑張りたい」、同神宮第17代宮司として祝詞舞を披露する常磐井武典さん(34)は「形だけではなく気持ちを込めて、身も心も洗練して当日を迎えたい」としている。会場横には小高い丘があり、少し離れた場所から見ることが出来る。特に入場規制はしないという。

update 2008/10/8 13:12
提供 - 函館新聞社


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